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15年間「果物だけ」を食べ続けてわかったこと 医師の「フルーツの食べ過ぎに注意」に異議あり

東洋経済オンライン / 2024年7月31日 11時0分

2005年に厚生労働省と農林水産省が共同で策定した食事バランスガイドでは、フルーツも毎日の必須食品であると定められ、毎日2サービング(種類にもよるが、およそ200g)食べることが推奨されています。

さらに、2023年には、国が推進する健康プロジェクト「健康日本21(第3次)」の中で、2032年度までのフルーツ類の摂取目標量(ジャムを除く)が1日200gと明記されました。

これは、2010年代に相次いで発表された、大規模な追跡調査の統合研究(日本人以外も含む)の結果から、フルーツの摂取量が多い人は相対的に、主たる生活習慣病系疾患の発症リスクが軒並み低かったためです。

健康日本21(第3次)で引用された論文で言えば、例えばフルーツをほとんど食べない人と比べて、がんは1日550~600gまでの摂取で8%、心臓病(心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患)は1日750~800gまでの摂取で21%、脳卒中は1日200~350gの摂取で18%、リスクが低いことがわかりました(National Library of Medicineより)。

また、過体重と肥満は1日240gの摂取で14%、2型糖尿病は1日200~300gの摂取で10%、高血圧は1日300gの摂取で7%、死亡率も1日600gの摂取で19%、それぞれリスクが低いことがわかりました。

また、世界150カ国以上の研究者が協力して、各国の食習慣と死因に関する医学研究を統合的に分析したところ、日本人の死因への影響の大きい上位3つの食習慣は、①塩分の摂りすぎ ② 玄米などの全粒穀物不足 ③フルーツ不足でした。

さらに国立がん研究センターも、がん予防のためにも野菜やフルーツ不足にならないよう積極的に摂ることを勧め、 WHO(世界保健機関)とFAO(国連食糧農業機関)も、がん・心臓病・糖尿病・肥満の予防のために、フルーツと野菜を毎日合計400g以上食べることを推奨しています。

「フルーツは甘いから糖質が多いだろう」。だから「きっと糖尿病リスクが大きい食品だろう」。なので、「フルーツの食べすぎには注意すべきだ」というのは、科学的根拠のない個人的な意見であり、単なる先入観なのです。

フルーツを食べない日本人

生活習慣病予防効果の高いフルーツですが、2021年の国連食糧機関の統計によれば、各国の国民1人当たりへの1日の供給量(摂取量+廃棄量)について、日本は世界平均の半分しかなく、先進国で断トツ最下位、世界186の国と地域の中で156位でした。日本より少ない国は、アフリカやアジアの発展途上国だけです。

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