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15年間「果物だけ」を食べ続けてわかったこと 医師の「フルーツの食べ過ぎに注意」に異議あり

東洋経済オンライン / 2024年7月31日 11時0分

実際、2019年の厚生労働省の統計によると、日本人は平均で、ジャムや果汁などの加工品を含めても、1日に100gもフルーツを食べていません。高齢世代を含め、全世代が国の目標量の200gを大きく下回っています。

下の棒グラフを見れば、30代男性では32gなど、特に20~50代の現役世代の摂取量が顕著に低いことがわかります。また4割近い人がフルーツを食べる習慣自体がなく、200g以上食べる人は18%しかありません。つまり、統計的には8割以上の日本人が「フルーツの食べなさすぎである」と言えます。

平均的な日本人にとっては、フルーツの食べなさ過ぎが問題であることは上述しました。では、健常者についての、1日当たりの食べすぎの研究はあるのでしょうか?

直接ヒトを対象とした医学研究の目的は、主に治療と予防の2つあります。治療は何かの疾患のある方が対象です。また、治療目的では、数日から数週間といった比較的短期間の実験が多いです。

一方で、予防は主に健常者が対象です。ある生活習慣を持つ健常者が、がんや脳卒中などになるリスクを調べたいと思えば、比較のために大人数でかつ、10年、20年といった長期間の研究が必要になります。

科学的な信頼性という意味では、複数のグループに分けたヒトでの「実験」が最も望ましいです。しかし、ある生活習慣を10年も20年も被験者に強要するのは、倫理的にも現実的にも難しいので、1年に1度の健康診断結果を収集するなどのやり方で、定期的な「追跡調査」が行われます。

健常者の予防目的に関する「追跡調査研究」であれば、1日当たりのフルーツの最適量に関する研究は存在しますが、食べすぎについて明らかにした研究は私の知る限りありません。

なぜなら大規模調査では、大量にフルーツを食べる習慣をもつ人自体がとても少ないため、統計的に表れにくいためです。ましてや、ヒトを対象にした、1日当たりのフルーツの食べすぎについて長期間調べた「実験研究」は存在しません。したがって、冒頭の「何グラムくらいから、フルーツの食べすぎになるのか?」という問いに対する回答は、ヒトでの信頼度の高い研究がないため、「わからない」が正解です。

15年で計10トンのフルーツを食べた人体実験

私は15年間、毎日2kgくらいのフルーツを食べ続けてきたので、この間、10トン以上のフルーツを食べたことになります。ただし今のところは、糖尿病や脂肪肝や痛風や骨折もなく、いたって健康です。

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