トランプ再選なら窮地「ウクライナ」の行く末 日本のウクライナ政策も再考が必要か
東洋経済オンライン / 2024年7月31日 9時0分
バイデン大統領の電撃的な撤退宣言によりアメリカ大統領選挙は揺れに揺れている。代わりに民主党候補として指名される見込みなのが副大統領のハリスだ。ハリスがトランプ相手にどれだけ善戦するかは見ものだが、仮にトランプが再登板した場合にどうなるのか、世界中が注視している。
それは、NATOも、イスラエルも、パレスチナも、ロシアも、ウクライナも、そして日本も同じである。その中でも、この大統領選の結果次第で最も影響を受ける国がウクライナであろう。
トランプ大統領が誕生したあかつきには、アメリカのウクライナ支援が縮小、もしくは停止される可能性が高いからである。ウクライナは、アメリカからの大規模支援なしにロシアとの紛争を継続することは事実上不可能である。
ヨーロッパも支援し続けられない
では、ヨーロッパ諸国がアメリカの代わりにウクライナを支援し続けることは可能だろうか。答えは否定的だ。ヨーロッパ自身もアメリカの巨大な支援の下にNATOという安全保障の傘を広げており、加えて、ヨーロッパは内側で深く分断されているからである。
6月に実施された欧州議会選挙では、極右勢力が大きく躍進したことで注目を集めた。7月から欧州理事会の議長国を務めるハンガリーは、ウクライナ支援には否定的であり、ロシアとの和平プロセスの推進を主張し、この7月にもロシアを訪問して一部ヨーロッパ諸国から非難を浴びているが、同じくNATOのスロバキアはハンガリーの立場を支持している。当然のことだがヨーロッパは一枚岩ではない。
また、そもそもNATO自体がアメリカに依存した同盟であり、盟主アメリカが消極的になってしまえば、自然と勢いを失ってしまうだろう。このように、他国に依存している国は、最終的には自国の利益を最後まで追求することができない。その意味で、孤立してもなお自国の目的を追求し続けられる自立主権国家は、アメリカとロシアくらいのものではないだろうか。
分断されているという点ではアメリカも同様だ。こうした内的分断、内的脆弱性はロシアと強力に対抗することを難しくしている。ロシアは、アメリカやヨーロッパがロシアに対して内的に結束しないように巧みに行動している。
ウクライナ内部でも世論は変化している
今後、「ウクライナには勝ち目がない。分離した地域なしでやっていけばいいじゃないか。これ以上の支援は無意味だ」という雰囲気がいっそう強まっていくだろう。これは、ウクライナ内部でも同様である。
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