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トランプ再選なら窮地「ウクライナ」の行く末 日本のウクライナ政策も再考が必要か

東洋経済オンライン / 2024年7月31日 9時0分

そもそも、プーチンがゼレンスキーとの交渉を受け入れるかははなはだ疑問である。ゼレンスキーはプーチンとの交渉を法的に禁じるというパフォーマンスを過去に行っているのだ。しかし現実には、ゼレンスキーにはプーチン以外の交渉相手は存在しない。それを考えれば、パフォーマンス以外のなにものでもない、完全な政治的悪手であった。

さらに、プーチンは、ゼレンスキーにはウクライナ憲法上正当な大統領権限がないとしている。ウクライナ憲法は大統領の任期を選挙なしで延長することを認めていないにもかかわらず、ゼレンスキーは大統領選挙を実施しなかったからである(大統領任期は5月20日に終了)。

もちろん、ロシアの攻撃を受け、一部地域を占領されている状況で選挙を実施するのが容易でないという事情はあろう。しかしながら、そもそも、ゼレンスキー政権が国民の信任を得ているのかどうかについては疑問がある。

先の世論調査もそうだが、かつてはウクライナの有力政治家であるクリチコ・キエフ市長ですら、ゼレンスキー政権のやり方に疑問を呈し、「ゼレンスキーはあまりにも大きな権力を自分のオフィスに集中させているため、議会は意義を失っている」などと述べているのだ。

プーチンが示している交渉条件は?

仮に、交渉が行われるとして、プーチンが示している交渉条件は以下のとおりである。

(1)5つの地域(クリミア、ドネツク、ルガンスク、ヘルソン、ザポロジエ)をロシア地域として認めること
(2)ウクライナの中立と非核化
(3)非軍事化と非ナチ化
(4)対露制裁の撤廃

なお、さらに交渉の前提として、5つの地域から軍を撤退させること、NATO非加盟を公式に宣言することを条件としている。

これらの条件は、ヘルソンとザポロジエが増えたことをのぞけば、基本的に紛争当初のロシアの主張から変わっていない。ただし、交渉開始の時期が伸びれば伸びるほど、ウクライナにとっての条件はますます厳しくなるだろうとロシア側は言っている。具体的には、現在ロシア側が前進しているハルキウ州が思い浮かぶ。

ただ、ロシアのペスコフ大統領報道官は、和平プロセスに移行するための条件は整っていないとし、ロシアにとっての最重要事項は「特別軍事作戦」の目的を達成することであり、それを軍事的に実現することは十分可能だとの認識を示している。「特別軍事作戦」の目的とは、ウクライナの中立化及び非軍事化、非ナチ化、そしてドンバス住民の保護である。

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