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トランプ再選なら窮地「ウクライナ」の行く末 日本のウクライナ政策も再考が必要か

東洋経済オンライン / 2024年7月31日 9時0分

バイデン政権末期の遠交近攻の駆け込み外交を急げば、あとで自らの手足を縛る原因をつくることになりかねない。これまでさんざんウクライナ支援の旗を振ってきた手前、いまさら手を引くことは難しいだろうが、この微妙な時期に一部のヨーロッパ諸国とともにロシア包囲網の強化に動くのは悪手である。何の勝算もないからである。

むしろ、ウクライナ紛争に対する政策を根本的に見直すべき時期に入っていると言えるだろう。先に述べたとおり、ウクライナ国民ですらロシアに譲歩しても平和を手に入れることを望み始め、ゼレンスキー政権の国内支持率も低下しているのである。

日本が守るべき「大義」とは?

日本が守るべき大義は、「極東の安定を維持し、そこにおける日本のプレゼンスを維持するということ」であるはずだ。仮に日本政府が、NATOと結託してロシアを包囲することで中露の結束を弱め、それによって極東における日本のプレゼンスを守ろうとしているのだとすれば、このやり方は果たして適切だろうか。NATOによる包囲網は意外に脆弱なのである。

分断したアメリカに追従しすぎるのも危うい。現在の中東情勢についても、アメリカは一方で無辜のパレスチナ人に被害が出ることを防ぐ必要があると停戦を求めながら、同時にハマス殲滅を名目に過剰報復を行っているイスラエル政府を支持している。アメリカの理想や正義などというものは、その程度のものである。

岸田政権は、極東における日本のプレゼンスを守るという目的を、ウクライナ支援・ロシア包囲に参加する見返りのような形で、機に乗じて手に入れようとしているようにも見える。

こうした漁夫の利を得ようとするような機会主義は危険だ。包囲に失敗すれば、対露関係を悪化させ、ますます極東で中露の圧力を受ける状況に陥るだけのことである。この大義を実現するためには、より長期的で、実のある外交方針、国家百年の計を立てるべきだ。

亀山 陽司:著述家、元外交官

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