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トランプ再選なら窮地「ウクライナ」の行く末 日本のウクライナ政策も再考が必要か

東洋経済オンライン / 2024年7月31日 9時0分

キエフ社会学研究所による世論調査は、ロシアに領土的譲歩をすることもやむをえないと考えるウクライナ国民の割合が大きく増加していることを示している。そのように答える人の割合は、2023年5月には8~10%しかいなかったが、2024年5月には、32%まで増加しているというのだ。

また、ウクライナ国民の多くは、ウクライナ政府よりも、EUやアメリカを信頼しているという結果が出ている。6月に民主イニシアティブ基金により行われた世論調査によれば、EUを信頼すると答えた人の割合は60%、アメリカを信頼すると答えた人の割合は37%、ウクライナ政府を信頼すると答えた人の割合は31%であった。

ちなみにウクライナ政府を信頼しないと答えた人の割合が49%に上っている。政府が国民の支持を得るには、まず欧米諸国のウクライナ支援をアピールしなければならないという特有の事情が如実に表れている。これは、国家として極めて異常な状況である。

自国政府よりも外国政府を信頼するとすれば、国家としては破綻していると言わざるをえない。EUやアメリカが言うことは、ゼレンスキー政権が言うことよりも信頼感があるということだ。

もっとも、歴史的に見れば、ウクライナ住民はつねに外国政府の統治下にあった。ポーランド、ロシア、オーストリア帝国などである。ソ連時代には一種の自治を享受するに至ったが、最終的に国家として独立したのは、実質的にはソ連崩壊後、すなわち20世紀末である。それから30年余りを経ただけの現在、一部の人々がロシアを選び、残りの人々がヨーロッパを選んだとしても、驚くにはあたらないのかもしれない。

プーチンとの交渉の可能性について言及

アメリカの大統領選挙の趨勢を見てか、ウクライナ世論の動向を見てか、イギリスのテレビ局に対して、ゼレンスキーはプーチンとの交渉の可能性について言及した。ゼレンスキー大統領としては、国際社会を巻き込んで多数対ロシアで交渉を進めたい考えに変わりはないようだが、今となっては、交渉過程への諸外国の関与をロシアは受け入れないだろう。

また、アメリカをはじめとする他国の支援を当てにして自国の安全を守ろうとする姿勢を最も嫌うのがトランプである。NATOなどの同盟国に対して、自己負担率を上げるよう強く求めてきたのがその証だ。仮にトランプが大統領に返り咲けば、ウクライナの他国頼みの姿勢に厳しい目を向けることは容易に想像できる。

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