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「子持ち様への冷笑」かつて経験した私が思うこと 男性の育休取得率が3割到達の陰で生じる歪みの正体

東洋経済オンライン / 2024年8月6日 11時0分

(撮影:今井康一)

育児休業を取得した民間企業に勤務する男性の割合(2023年度)が、初めて3割を超えたことが厚生労働省の発表で明らかになりました。

前年度(17.13%)と比べ13ポイント上昇し、過去最高の30.1%となったことに加え、18~25歳の男性を対象にした調査では、84%が将来的に育休の取得を望んでいることも分かりました。より多くの男性が、世界に冠たる育休制度を活用するのは、とにかく明るい兆しです。

男性の育休取得率は「過去最高」になったが…

約10年前、大手メディアの政治部記者だった筆者は約1年間の“男性育休”を取得しましたが、当時は周囲から奇異の目で見られたものです。それもそのはず、当時、日本における男性の育休取得率はわずか2%台しかありませんでした。その頃と比べると、単純に15倍の男性が取得している計算になるわけですから、まさに隔世の感です。平日の朝晩や休日に、ベビーカーや抱っこひもを使って、子どもと一緒に街を歩く男性を見かけるのは、もはや珍しいことではありません。

ただ、過去最高の取得率を手放しで喜んでいられないのも実情です。取得日数は増加傾向とはいえ、1カ月未満の人が6割近くを占めます。“あらゆる事情”で、短期間の取得にせざるをえなかった、もしくは「形式的に取っただけ」人もそれなりに存在しそうです。

政府が男性育休を促す、そもそもの目的は「育休取得後も男性が育児に参画し、仕事と両立しながら分担する」ことであり、異例のスピードで進む少子化に歯止めをかけることです。

若い男性たちに強い取得意欲が見られ、いい流れを迎えた今だからこそ、その先を見据えた課題について、考えてみたいと思います。

政府は、男性育休取得率の目標として、2025年度に50%、2030年度には85%への引き上げを掲げています。2020年度に初めて10%台に乗ってからは、右肩上がりで伸びています。

厚労省は今回の急増理由について、育休制度の周知と育休取得の意向を確認する制度を2022年春から企業に義務付けたためと分析しています。取得を義務化するのではなく、取るかどうかを男性に尋ねることを義務化したわけです。

これによって、自分からは取得を言い出せなかった男性が、以前よりは気兼ねなく申し出ることができました。取りやすい環境づくりに向け前進したのは、間違いありません。

一方、来年4月からは育児休業給付(育休手当)は、両親がともに14日間以上の育休を取得した場合、手取り収入が育休前と同じ、つまり10割に引き上げられます。最大28日間ではありますが、育休取得をためらう理由が収入減である人にとっては、現行の67%から支援が拡充するわけで、大きな助け船になりそうです。

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