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「子持ち様への冷笑」かつて経験した私が思うこと 男性の育休取得率が3割到達の陰で生じる歪みの正体

東洋経済オンライン / 2024年8月6日 11時0分

取得日数の多寡はともかく、より多くの男性が育休に踏み切ることは喜ばしいことです。政府が大号令をかけて、数値目標の実現に動いているのも、目指すべき到達点と時期を明示しないと、政策としての位置付けが曖昧になるという事情があります。まずもって、数字を引き上げるのは、政府の方向性として間違いとは言えないでしょう。

男性が「育休を取った後」の生活はというと…

しかし、こうした中、抜け落ちている視点があると感じます。それは、育休取得後の男性の働き方です。

育児を担うために、育休を取得し、復帰後も女性パートナーと分担したいのに、様々な理由で実現できない男性の事例は少なくないのではないでしょうか。女性は「時短勤務」を選択することもありますが、男性は元の働き方に戻ることが大半です。実際問題、育児を「分担」できるような働き方とは到底言えない人が多いと思われます。

その一方で、育休でキャリアが中断したことの“反動”が起きることもあります。育休でできた仕事上の“ブランク”を取り戻そうとして、育休前以上に必死で仕事に取り組む男性もいるかもしれません。

そうした背景には、日本社会ではいまだに男性のキャリア中断に極めて及び腰で、否定的な見方が根強いことがあります。

育休を取る男性に対し、ため息をつく同僚や上司を見たことがある人は少なくないはずです。育休を3カ月や半年取得する若い男性に対して「あいつは現場へのしわよせのことを考えていない」「いったい何を考えてるんだ」と裏でぼやく上司の話も、残念ながらそう珍しいものではありません。

実際、私自身もかつてそうした状況を経験しました。育休から復帰する直前に行われた所属長との面談で、時短勤務の存在を紹介されましたが、「時短は使うつもりはない」とはっきり伝えたことを思い出します。育休で長く仕事から遠ざかったうえ、時短を取得するのではブランクを取り戻せないという焦りがあったためです。「復帰後は、時流が早い永田町でまたバリバリ働きたい」「1年間を取り戻すように働くぞ」という思いばかりで、時短については頭の片隅にもありませんでした。

邪推かもしれませんが、当時は「1年も仕事を休んだような責任感のないヤツに、大事な仕事はもう任せられない」といった厳しい視線があるように感じていました。そうした周囲からの懸念を早く払拭したい。そのためには、長時間労働はもちろん、どんな仕事にも取り組む思いで、職場復帰しました。

男性を襲う「配置換え」「プロジェクト外し」

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