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社会的共通資本としての大学はどうあるべきか 藤井輝夫・総長が描く「未来の東京大学」とは

東洋経済オンライン / 2024年8月9日 13時0分

藤井:その通りだと思います。

堀内:ついに矢口祐人副学長が『なぜ東大は男だらけなのか』という本まで出されて、皆さんいろいろな大学のあり方とか、教育の議論をされるのに、どこも女性の問題を取り上げていないということ自体を本の中で書かれていました。多様性と言ったときに、足元のジェンダーに関する多様性に対応できていないということだと思います。

多様性包摂共創センターを創設

藤井:そうですね。ただ、多様性というと日本ではジェンダーの多様性が一番に出てきますが、それ以外にも国際性も多様性の1つですし、出身国や地域、エスニシティなどの多様性が存在します。

この他、ディスアビリティ・インクルージョンの課題もあります。これらを含めて、多様性と包摂性(Diversity & Inclusion, D&I)を大事にしようと言っています。

そのための1つのステップとして、たとえば留学生を考えると、東京大学では大学院生の約30%が留学生ですが、学部生には数%しかいません。その理由の1つに、英語で受けられる講義が少ないという事情があります。まずはこれを解消しようということで、グローバル教育センターという組織を2023年4月に設立して、英語で受けられる科目を大幅に増やしました。学部生が受けられる学際的な、とくにSDGsに関係するトピックを中心とした科目群をここで用意しています。

また、男女共同参画やD&Iの文脈では、2024年4月にIncluDE(多様性包摂共創センター)を立ち上げました。ジェンダー・エクイティ推進オフィスとバリアフリー推進オフィスを包含しているほか、DEI (Diversity, Equity & Inclusion) に関する研究と実践の両方に取り組む新しいタイプのセンターです。

DEIに関わるさまざまな研究を行いながら、その成果を支援などの実践の場に生かし、実践で得た知見を新たな研究に繋げる、という研究と実践の好循環を通じて、ジェンダー・エクイティ及びバリアフリーの推進に取り組んでいます。

堀内:今のお話をうかがっていると、私のイメージしている大学改革の方向にとても合っていると感じるのですが、そうすると結局、社会とどう関わっていくかというのが、企業にせよ大学にせよ、存在意義の大きな部分だとすると、その組織をどのように回すかというのはすごく重要だと思うんですね。

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