1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

事故物件の「オバケ調査」は業界の救世主になるか 一晩泊まり込んで部屋に異常がないかを調査

東洋経済オンライン / 2024年8月9日 11時0分

ところが、事故物件の対応をしたときの経験を思い出した。物件所有者は仕方がないとあきらめるしかなかったが、それは勤務していた期間ずっと、変わらない姿だった。物件の資産価値を回復させる手立てがあるのでないか、誰もしていないなら自分がやろう、と会社の方針を変えた。

児玉さんが考えたのは、契約前の告知の際に詳しい調査報告書を添えることだ。亡くなった人を知らない人と事故物件の遺族とでは、その部屋に対する感じ方は違う。気持ちが悪いと思うかどうかは、「亡くなった人と住み手の心の距離感」による。

そう考えて、何が起きて、部屋をどう改修したか、実際に泊まり込んだ結果どうだったかなどの「調査報告書」を作成して、しっかり説明することにした。これが、オバケ調査のきっかけだ。

あえて宅地建物取引事業者ではない立ち位置に

では、誰がどういう立場で、事故物件に関する報告書を作成してほしいと依頼するのだろう? 児玉さんに依頼するユーザーは、賃料をできるだけ下げたくないという賃貸オーナー、オーナーから相談された賃貸管理会社、事故物件を買い取ってリフォームして再販する際に売買価格向上を図りたい買取再販事業者などだ。

賃貸住宅の場合、賃貸の管理を任された管理会社は、同業者がオーナーに接触することを嫌う。調査報告書を作成するには、オーナーと管理会社の双方の協力が必要なため、児玉さんはあえて宅地建物取引事業者になっていない。そうすることで、顧客を奪う目的ではないことがわかり、Win-Winの関係を築いている。

児玉さん自身は宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、賃貸住宅メンテナンス主任者といった不動産に関する資格を持っており、これまでのキャリアを活かして、事故物件の特殊清掃や改修方法が適切かなどの助言も行っている。

さらに、相続支援コンサルタント、遺品整理士、古物商(法人)などの資格・免許を取得し、事故物件の事後の遺品整理や遺族への対応、特殊清掃の相談なども受けられるようにしている。

オバケの有無を調べるために、どんな調査をする?

さて、オバケ調査である。どんな調査をして、異常の有無を報告するのだろう。

調査項目は、①映像録画(ビデオカメラ)、②音声録音(ICレコーダー)、③電磁波調査、④サーモグラフィ、➄風力調査、⑥室温湿度調査、⑦大気圧調査、⑧騒音調査の8項目だ。児玉さんが22時~翌朝6時まで8時間滞在して、機器を使って測定する。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください