BPOの大義はあくまで言論・表現の自由を守ること 元BPO委員「コンプライアンスにもほどがある」
東洋経済オンライン / 2024年8月10日 20時0分
青少年委員会が2000年に設立されて以来、検討結果について放送局に報告を求めるという強い拘束力を持つ「見解」は4回出されている。放送局に自主的検討を促す「要望」が5回、「提言その他」が5回である。
テレビ制作者の「職業倫理」に求められること
このうち「出演者に対する暴力表現」を扱ったものが、「バラエティー系番組に対する見解」(2000年)、「『出演者の心身に加えられる暴力』に関する見解について」(2007年)、「『痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー』に関する見解」(2022年)の3回ともっとも多い。少し長いが、22年「見解」の「結び」を引用したい。
バラエティー番組がテレビにおける重要なジャンルの一つであることは疑いようがなく、当委員会は、テレビ局関係者との意見交換等をとおして、制作者が限られたリソースのなかで工夫を重ね、視聴者に快い笑いを届けるために努力を重ねていることも認識しているつもりである。
その上で、70年余のテレビの歴史とその公共性に鑑みれば、その時々の時代や社会状況のなかで、視聴者を楽しませるバラエティー番組の制作を実現するためには、番組制作者の時代を見る目、センスや経験、技術を常に見直し、改善し、駆使することが重要であることを改めてお伝えしたい。
そして、「他人の心身の痛みを嘲笑する」演出が、それを視聴する青少年の共感性の発達や人間観に望ましくない影響を与える可能性があることが、最新の脳科学的及び心理学的見地から指摘されていることも事実であり、公共性を有するテレビの制作者は、かかる観点にも配慮しながら番組を作り上げていくことが求められている。
この結びには、BPOの立場が余すところなく述べられていると思う。1段目ではバラエティ番組制作者の「表現の自由の尊重」を議論の前提としている。
にもかかわらず2段目では、「社会の常識(コモン・センス)」に照らして、視聴者が楽しむことができるバラエティ番組を制作するために、番組制作者の時代を見る目や番組制作手法を「常に見直し、改善し、駆使することが重要である」と指摘する。
そして3段目では、「他人の心身の痛みを嘲笑する」演出が青少年に与える影響に配慮することが必要ではないかと、テレビ制作者の「職業倫理」に訴える。
2022年の勧告では、バラエティ番組についての中高生モニターの感想が、青少年委員会の審議を始める起点となっていることを見逃してはならない(同委員会2021年7月「議事概要」など参照)。そして、たとえ芸人の苦痛を見て楽しんでいる視聴者がいたとしても、ダメなものはダメと率先して社会の規範を構築していく役割が放送人に求められている。
児童ポルノをめぐる社会動向
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