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是枝監督「長編デビュー作」に残る"輪島の風景" 能登半島地震の復興を願い、リバイバル上映

東洋経済オンライン / 2024年8月10日 11時0分

でも、この葬列もどピーカンじゃ話にならないだろうからということで、こっちは後にして。地元のエキストラさんに坂道の上に集まってもらって、撮ったんですよ。

あそこはぶっつけ本番で撮っていたんですけど、途中レンズの前を何かがちらついて。最初はゴミかなと思ったんですけど、それが雪だった。

――ちょっと前には晴れていたんですよね?

中堀:僕は高校のときに金沢にいたことがあるので、能登のこともいろいろと知っているんですけど。あそこは晴れたり、曇ったり、雪が降ったりというのがしょっちゅう起きるところだから。だからこういう偶然も起きるわけなんですよ。

――輪島の方の協力ということもそうですが、この映画には本当にいろんな偶然というか、奇跡が詰まっている映画だったんですね。

中堀:ポスターのスチール写真(藤井保氏)も最後の日に撮っているんですよ。実はこの時、雨が降ってきたので、周囲にビニールを貼って。雨を全部切って、それで撮ったんです。

だからなかなかトーンもよかったですね。すでに照明部が片付けをはじめていたんですが、スチールに音は関係ないですから。そうやってみんな手伝ってましたね。

――地元の方とお酒を飲んだりしたんですか?

中堀:僕は酒は飲めないんですけど、ただそんな暇はなかったですね。朝出て、夜帰って寝るというだけなんで。ただちょうどその頃、僕がカップラーメンのコマーシャルをやっていて。その会社が1週間ごとにカップラーメンをダンボールで民宿に送ってくれて、民宿の人にお湯だけ用意してもらったりもしていましたね。

合津:私の製作費ではカップラーメン代は出せなかったから(笑)。ありがたかったですね。でも(撮影場所の家の改修を引き受けてくれた)大工の坂下久造さんもそうでしたが、現場をのぞくことはなくて。彼は事前に家を改修してくれるだけで、あとはそっとしておいてくれた。それはすごいなと思いますし、ありがたかったですね。

――今回、デジタルリマスターで生まれ変わった『幻の光』はどうですか?

中堀:リマスターした画面を観て、自分でもこんなにきれいだったのかと思うくらいよかったですね。だからここ(取材場所となったBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下)のスクリーンで観たんですが、DCP(映画館などでデジタル上映をするためのフォーマット)になったということもありますが、コントラストが見事で。しっかりとしていてよかったですね。

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