「涙が出てくる」韓国人絶賛した日本人歌手の正体 テレビでJ-POPが放送されるようになった背景
東洋経済オンライン / 2024年8月12日 10時0分
「お願いしまーす!」
旅行会社のテレビCMに違和感なく日本語が入る。こんなことがかつてあっただろうか。最近の韓国には公然と「日本」があふれている。
画期的だったのはこの4月から5週間にわたりケーブルテレビMBNで放映された『日韓歌王戦』(韓国では韓日歌王戦。日本ではWOWWOWで放映)だ。オーディションを勝ち抜いた韓国と日本の歌手7人が歌で競い合う日韓戦で、名の知られた韓国歌手に対し、日本側はほとんどが無名。
「日本の歌は歌詞を韓国語に直して歌うのだろうし、不利だなあ」。そう思って観ると、日本の歌が日本語のままで流れて面食らった。日本の歌には韓国語の字幕がついていた。
2018年時点でも日本語歌詞の歌は放送NG
日本の大衆文化が禁止されていた韓国では1998年から段階を経て、2004年に完全に開放されたものの、自主規制と称して地上波などで日本の歌が日本語で流れることはなかった。2018年にも宮脇さくらなど日本人メンバーがいたK-POPガールズグループ「IZ*ONE」の『好きになっちゃうだろう?』も日本語の歌詞が入っているという理由から地上波での放映は見送られた。
ところが、『日韓歌王戦』では、「ギンギラギンにさりげなく」(近藤真彦)、「雪の華」(中島美嘉)、「道化師のソネット」(さだまさし)など往年の日本のヒット曲や名曲が次々と日本語のまま歌われて、大反響を呼んだ。
広島のローカルアイドルユニット「SPL∞ASH」に所属する住田愛子さんが歌った『ギンギラギンにさりげなく』は番組公式YouTubeで550万回を突破し、音楽ユニット「Letit go」でデビューし、解散後は、ライブ活動などを続けてきたという歌心りえさんの「雪の華」は560万回を超え現在も記録更新中だ。
歌心りえさんが歌った曲は他にも100万回を超えて視聴されたものが多く、書き込みも1万以上ついている。最終回に歌った「道化師のソネット」では、対戦相手の韓国の歌手や観客が涙ぐむなど、会場を感動で埋め尽くした。
「日本語とはこんなにも美しいものですか」
同曲のYouTubeの書き込み欄には、韓国の視聴者から「人生で初めて慰められた曲」「日本語とはこんなにも美しいものですか。涙がでてくる」「70歳になろうとしている私が心から拍手を送ります。歌が上手な歌手はたくさんいますが、歌に響きを込めて伝えてくれる歌手はめったにいません。歌心りえさんはこのふたつを持っておられる。もう何度も聴いています。日本の人が歌う歌を聴いても聴いても涙がでます」などのコメントが書きつづられている。
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