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立ち食いそばに「100万円の机」実現させた発想法 「ルールよりゴール」で新しい発想が生まれる

東洋経済オンライン / 2024年8月13日 14時0分

「ルールを変えてゴールを目指す」。このアプローチは、すべてのビジネスに応用できる思考ツールです(写真:EKAKI/PIXTA)

「考えるための方法」が整理されると一気に思考が活性化する――。

伊右衛門、プレモル、PlayStationといった国民的商品の広告を多く手がけてきたクリエイター・小西利行さんがあらゆる「仕事の壁」を突破するために使っているのが「考えるための方法=思考ツール」です。

小西さんの35年間の仕事の中で編み出した100の思考ツールが紹介されている『すごい思考ツール 壁を突破するための〈100の方程式〉』から一部を抜粋し、3回にわたってお届けします。

ルールより、ゴールは何か?

高い山に登って景色が見たかったら、登る山を変えたっていい

京都の五条に「suba」という話題の立ち食い蕎麦屋がある。この蕎麦屋のインテリアデザイナーはYUSUKE SEKI。ファッションブランドのsacaiが表参道に構える旗艦店のデザインなどを手掛けるなど、今や押しも押されもせぬ若手デザイナーの筆頭格だ。

長年親交がある彼にそのsuba の話を聞いた時、面白い発想だなと膝を打ったことがある。彼曰く「いいテーブルが置きたかったけど、制作費に100万円もかかったらさすがにOKでないから……」「じゃあ諦めたんだ?」

「いえ、100万円の彫刻をクライアントに購入してもらって、それをテーブル代わりに使いました」

目からウロコだった。蕎麦屋に100万のテーブルは高いが、100万以上の価値になる芸術作品なら、むしろ安い買い物だ。彼は、滋賀在住の作家に依頼して、大きな石柱のような彫刻作品を納品した。その存在感のある彫刻により彼の目論見通りに素晴らしい店になったし、テーブルではなく傾いた芸術の上で汁をこぼしながら蕎麦をすする風景がSNSでも話題になった。

もし彼が「高価すぎるのはダメ」というルールに従って安価なテーブルをつくっていたら、この反響は生まれなかっただろう。彼は、ある山を登ろうとしていろんな登山口を探したり、山の中腹で「仕方ない」と諦めたりするのではなく、高い山から見える素晴らしい景色を見るために、登る山を変えたわけだ。ルールを変えてゴールを目指すこのアプローチは、すべてのビジネスに応用できる思考ツールだ。

「白い紙に白いペンで、私に見えるようにはっきり文字を書いてください」

皆さんならこの問題をどう解くだろう? これは僕が小学生向けにアイデアの発想講座をする時に必ず出す質問で、子どもたちからは「筆圧を強くする」とか「あぶり出し」などのアイデアが出てくる。

何をゴールと思うかによって、スタート地点が変わる

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