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立ち食いそばに「100万円の机」実現させた発想法 「ルールよりゴール」で新しい発想が生まれる

東洋経済オンライン / 2024年8月13日 14時0分

提案したのは「リアル子ども目線」にすること。例えば子どもが取りやすい高さに料理を置いたり、文字プレートも下位置に配置するなど、子どもから見てワクワクするビュッフェ体験にするわけだ。子どもが支持する企画は、長い目で見れば大人が家族を連れていきたいレストランになる。

飲食店の企画で大事なのは、何よりも美味しく、食体験そのものが楽しく、そして愛されること。それなくしていくらSNS施策やデザインで凝った世界観を出しても世の中は反応しない。

「そんな馬鹿な」と笑いが起きた

とはいえ、その時は「もっとインパクトのある施策はないですか?」

と聞かれた。意外性のあるコラボ施策などを期待されたのかもしれないが、僕が次に話したのは、「じゃあ1万円付きランチビュッフェやりましょう」だった。ホテルの関係者はみなきょとんとした顔になり、次の瞬間ドッと笑いが起きた。「そんな馬鹿な!」と。

でも僕は大真面目。常識で考えれば5000円のランチで1万円プレゼントしたら大赤字だ。でもPRで何かの看板を制作したり、広告を打てば100万くらい簡単になくなってしまう。その100万円があれば、1万円付きのランチを100食は出せる計算になるから実現は可能。しかもPR効果は絶大。だって食べたら儲かるのだからSNSがお祭りになるのは必至だし、100食の枠を争ってみな殺到し、メディア取材も来るし、メニューの理解も進む。夢のアイデアだ。

でも結果的にこの施策はやらなかった。「それ、いいですね!」という関係者の情熱がないと、この手のアイデアは絶対に角がとれて丸くなる、丸くなると面白みがなくなって話題にならないからだ。でもそうした壁を突破して、世間でできっこない! と言われることを、緻密に考えて実現できると、大きく広がる。

サントリーのお茶「伊右衛門」はその好例だろう。あの名前は、発売当時「他にない変わった名前」だったけれど、それでいけるとサントリーは覚悟を決めて勢いよく進んだ結果、変わった名前はオリジナリティを生み、長年愛されるものとなっていった。本気で人の心を動かしたいなら、目的を見定めた上で、常識から逸脱して考えるといいのだ。

できそうなことから「そんな馬鹿な!」まで考えて、一番、心が動くものを探し当てよう。

セッションは、一番遠いヤツと

「え、マジで!?」「なるほど! いいね」が成立する一番遠いコラボ先を探せ

ビジネスの企画でコラボレーションのアイデアが出る場合、そのほとんどは「関係しそうな領域」とのコラボである。僕は、経営者とのミーティングや新規開発プロジェクトに呼ばれて、アイデアのスパーリングに付き合うことも多いが、聞かされるのは「似ている分野でイケてる相手と組む」話ばかりだ。

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