大工激減の一方で、「大工講座」が大人気の事情 副業・兼業大工が増えることの意味とは
東洋経済オンライン / 2024年8月13日 10時30分
大工をはじめとする建設技能者不足が深刻だ。
能登半島では仮設住宅建築が全国から集まった多くの建設技能者の力で進められているが、建設技能者の減少が続けば同様の対応が難しくなる懸念もある。このままいくと10年と経たずに大工のいない自治体が出てくるという試算もある。一方で、神戸市では素人向けの「半人前大工育成講座」が大人気を博している。兼業や副業で大工をやりたい人が増えている背景を探る。
大工の数は最盛期の3分の1に
大工の数は1980年の約94万人から現在に至るまで延々と減少を続けてきた。その結果、2020年には最盛期の約3分の1にまで減少。また、大工を含む建設業就業者でみても1990年代後半までは他産業とほぼ変わらない年齢構成だったが、以降急速に高齢化が進んでもいる。人数は少なく、他産業以上に高齢化が進んでいるのが大工の世界なのである。
この減少、高齢化は住宅産業の変化によるもの。かつては地元の工務店が、消費者から直接住宅建設を請け負い、それを大工に発注して建設していたため、大工も稼げていた。
ところが、バブル崩壊後、住宅着工数が減って住宅は建てるものから建売業者から買うものにと変化していく中、2000年代には分譲建売住宅を手掛けるビルダーが市場に参入。安さを武器にする事業者も多く、そのしわ寄せは工務店、大工にきた。工務店は適正な利益を確保することが難しくなり、大工の賃金が下がっていくという流れが続いてきた。
その状態の中で発生したのが東日本大震災、アベノミクス以降の建設ラッシュである。建設業界関連職種の有効求人倍率の推移をみると、リーマンショックで一時落ち込んだ建設業全般の求人倍率は東日本大震災で急上昇。続くアベノミクスでは全職業を超えた高い有効求人倍率が続き、コロナで少し落ち込んだものの、現状は高止まり状態にある。
20年かけて減り続けてきた業界に減少数を上回る需要が発生してしまったわけで、人手が足りるはずがない。高齢化が進んでいることから近い将来に人手不足が解消される可能性は極めて低い。
ニーズがあるなら新規参入があるのでは?と思う人もいるだろう。だが、もともと零細企業、個人事業主の多い業界で立場はつねに弱い。給料も含め、働く環境は改善されない状態が長らく続いてきた。このところの建築費高騰でも資材費アップ分は施主に請求するのが一般的だが、人件費はアップされないどころか、逆に抑えようとする事業者もあったほどだ。
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