フワちゃんの謝罪に見えた「無邪気」という危うさ 「多様性」のラベルが剥がれて表出したもの
東洋経済オンライン / 2024年8月13日 14時50分
多くのXユーザーは謝罪文にも容赦ない。「単なる言い訳だ」「内容が長すぎる」といった指摘は、筆者も同意するところだが、読むにつれて「これを言ったらどうなるか」「閲覧者にどんな印象を与えるか」よりも、伝えたい思いが優先されてしまったように思えるのだ。そうした無邪気さから、「死んでくださーい」がギャグとして成立すると、心から信じていたのではないか。
同時にSNSのような「自分の言葉による発信」に、あまりフワちゃんは向いていない様子も見えてくる。無邪気さを「多様性のアイコン」的なキャラクターとして、うまくコンテンツ化してくれる周囲がいたからこそ、ここまでの立ち位置に上り詰めたのではないだろうか。
そう考えると、そのタレント力の根幹にある「無邪気さ」が、最大の懸念材料に変わった今、たとえ復帰したとしても、従来の方向性には限界がある。
「フワちゃんらしさ」そのものに嫌悪感を持つ視聴者が増えた以上、従来の使い方を続けるのはテレビ局としてリスクが大きく、キャスティングしづらくなってしまう可能性は高いだろう。「多様性」というラベルが剥がれて、「公開暴言をした人」になった今、突拍子もない行動は魅力的には映らず、「失礼な人」と思われてしまうからだ。
SNSにあふれる“ゆがんだ正義感”
しばらくは自分を見つめ直すにしても、いずれ「身の振り方」を考えなくてはならない時が来る。おそらく復帰しても、そのまま芸能界からフェードアウトしてしまっても、フワちゃんへのバッシングが絶えることはないだろう。
もちろん全員とは言わないが、多くのXユーザーには攻撃的なところがある。少しでも「たたける要素」が見つかると、そこを針小棒大に攻撃材料とする。どのルートを選んでも、イバラ道になりがちな現状があるのだ。
くしくも、これを的確に表すようなXポストを、渦中のやす子さんが8月10日にしていた。「何も言わなかったら→許してない!最低! 許しまーす!→許すな!最低! なんでやねーーーん!!!」。
実は、今回巻き込まれた側のやす子さんも、「芸人なら真に受けず、ネタとして流せばいいのに」「なぜ謝罪を受け入れたのか」といったバッシングを受けている。
こうした「世間が許しても、私は許さない。だから完膚なきまでに、たたきのめすしかないのだ!」的なムードは、とくにSNS炎上をめぐっては、よく見られる。
今回の件については、やす子さんが「許す」と発言し、フワちゃんが謝罪のうえ活動休止を決めた以上、(少なくとも対外的には)当事者間の問題は解決している。
にもかかわらず、さらなる厳罰を求める。法的で業界的な審判が下されないなら、あるいは「その処分に私は納得がいかない」なら、どれだけ私刑を加えても構わない……といった、ゆがんだ正義感がSNSにはあふれている。
【画像8枚】「反省して、精進します。」「署名は”フワちゃん”」…。大炎上&やす子への謝罪後にした、フワちゃんの投稿の様子
でも、しょせん他人は他人だ。人は誰しも「生きてるだけで偉い」。パリオリンピックが終わった今、やす子オリンピックに出場しようではないか。一人ひとりが、それぞれ別の競技に挑み、そこにはライバルはいない。誰かに向けている敵意を、自分の向上心に切り替えられたなら、そこに「皆優勝」の未来が待っているはずだ。
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城戸 譲:ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー
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