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生命の存在を明らかにする火星サンプルの可能性 世界が注目する火星サンプルリターン計画の内実

東洋経済オンライン / 2024年8月14日 16時30分

現在、JAXAでは火星の衛星フォボスからのサンプルリターン計画であるMMXが進行している(写真:metamorworks/PIXTA)

NASAの火星探査機・パーサヴィアランスが採取した、生命の痕跡が保存されている可能性があるサンプルが、いつ地球に戻ってくるのか、いま世界が注目している。

『新版 宇宙に命はあるのか』より一部抜粋・再構成のうえ、火星サンプルリターンの仕組み、サンプルが示し得る地球外生命体の存在、そして人類の起源が明らかになる可能性についてお届けする。

火星サンプルはどのように地球に持ち帰れるのか?

サンプルリターンといえば、日本の小惑星探査機「はやぶさ」を思い出す人も多いだろう。初代はやぶさが持ち帰った小惑星の砂は月以外の世界から人類が史上初めて持ち帰ったサンプルだった。

【写真を見る】2021年2月に火星に着陸した火星ローバー「パーサヴィアランス」

はやぶさの功績はどんなに強調してもしすぎることはない。NASA内でもHayabusaの名は非常によく知られている。

はやぶさの成功に続いて、2020年にはやぶさ2が小惑星リュウグウの、2023年にはNASAの探査機オサイリス・レックスが小惑星ベンヌのサンプルを持ち帰った。

現在、JAXAでは火星の衛星フォボスからのサンプルリターン計画であるMMXが進行している。

一方、NASAは欧州宇宙機関(ESA)と共同で火星本体の岩を地球に持ち帰る火星サンプルリターン計画を進めている。この火星サンプルリターン計画で、人類はついに本格的な地球外生命探査に乗り出した。火星に川が流れ湖に注いでいた約40億年前の命の痕跡を探すのだ。

火星サンプルリターンの構想は何十年も前から何度もNASA内で持ち上がっては予算不足で潰えてきた。それがついに現実の計画となったのは、ちょうど僕がNASAジェット推進研究所に加わった2013年頃からだった。その内容はこの10年でいろいろと変わったし、これからも変わるかもしれないが、計画はこうだ。

3つのミッション

はやぶさは1台の探査機で地球・小惑星間を往復するミッションだった。火星は重力が大きいため、単一ミッションで行うには巨大な探査機が必要になってしまう。そこで、3つのミッションに分けて行う。 

最初のミッションが2021年2月に火星に着陸した火星ローバー「パーサヴィアランス」である(写真①)。

その任務はサンプルを集めることだ。ドリルで岩をくり抜き、試験管のようなサンプルチューブに密封する。現時点で23本のサンプルを収集しており、もう15本分の空のチューブがある。23本のサンプルのうち、現在ローバーが持っているのは14本。9本は1年ほど前にスリー・フォークスと呼ばれる場所に置いてきた。

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