「株価の大暴落」の影響は本当にもう収まったのか 今後の生活にどのような影響があるのか?
東洋経済オンライン / 2024年8月15日 8時0分
そもそも今回の大暴落の原因は、円キャリートレードの解消による円高が引き金になったという説もあるが、現在の相場はいわゆるコンピューターによるアルゴリズム売買や高頻度売買(ハイフリークエンシー・トレード)と呼ばれる超高速の自動売買プログラムが、その引き金を引いた可能性がある。
人間による売買に比べて、コンピューターによる高速売買は市場のボラティリティー(変動幅)を「増幅」させる傾向が高い。わずかな材料でも、プログラムが売買材料と判断した段階で大きな変動をもたらしてしまうわけだ。そういう意味では、今回の株価大暴落は大きな転換点となる材料が見当たらないにもかかわらず、大きく市場が動いた。アルゴリズムや高頻度売買が価格変動を増幅させたと考えるのが自然だろう。
1987年10月19日に起きた「ブラックマンデー」のような、瞬間的なものだと考えたほうがいいのかもしれない。とは言え、これだけ株価が大きく動くと様々な影響が出る。市場価格の過度な変動は、必ずどこかに歪みをもたらし、後になって表面化してくる。
とはいえ、その影響が事前にわかれば混乱はないわけで、市場変動の歪みがどこに表れるかは注視していくしかない。具体的には、「金融市場自体の変化」と「市場以外の経済全体に与える影響」に分けて考えたほうがいいかもしれない。まずは、金融市場内部にもたらすさまざまな影響について考えてみよう。
①金融危機は連鎖する
株価が大きく下落してもすぐに戻ってしまえば、影響は少ないだろうと思いがちだが、金融市場はそんな単純なものではない。たとえば、オプション取引や先物取引といった「差金決済」の投資家が大きな影響を受ける。FX口座で為替の売買をしている人も、今回の急激な円高で、円売りに賭けていた投資家の中には、強制的に取引を終了させられる「ロスカット」を経験した人もいるはずだ。
ロスカットされれば、その場で損失が確定されるため、損失の補填に追われることになる。株式市場でも、個人投資家が好むグロース市場などは「信用取引」の追証に追われた人も少なくなかったはずだ。変動幅が異常に大きくなった場合には、大きな損失を出す投資家もいるということだ。
とりわけ、今回のような大きな変動幅では、ヘッジファンドなどの機関投資家が大きなダメージを受けたはずだ。経営破綻につながる大きな損失を出す可能性もある。リーマンショックのきっかけも、アメリカ大手の投資銀行「ベアスターンズ」の子会社だったヘッジファンドの破綻が前兆となって現れた。特定のヘッジファンドが、やがて市場全体の危機に連鎖することがある。
他の金融マーケットの価格にも影響
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