「株価の大暴落」の影響は本当にもう収まったのか 今後の生活にどのような影響があるのか?
東洋経済オンライン / 2024年8月15日 8時0分
さらに注目したいのは、特定のマーケットの大暴落は他の市場にも波及するということだ。今回の日本株の大暴落では、仮にこのまま短期間で終了したとしても、明らかに他の金融マーケットの価格にも影響を及ぼした。株価暴落の原因の1つとなった為替市場はともかく、株式市場が下がると他の金融マーケットの価格もつられて下落するという図式となった。
たとえば、金相場やプラチナ相場といったコモディティ価格も下落し、さらに景気が低迷し需要が減るだろうとの見込みから原油価格までもが大きく下落。ビットコインなどの暗号資産も大きく乱高下。唯一、債券相場は金利が下がるということで影響は受けなかった。
1997年のアジア通貨危機でもタイバーツや韓国のウォンが暴落し、影響される形で翌年、ロシアのルーブルが暴落し、通貨危機に発展している。最終的に、アメリカの最先端のヘッジファンドだった「LTCM(ロング・ターム・キャピタル・マネジメント)」の経営破綻につながり、中央銀行である「FRB(連邦準備制度理事会)」が、ヘッジファンドを救済する事態に陥っている。
②金融危機は増幅する
そして、もう1つ忘れてならないのは、市場の混乱は危機を増幅させるということだ。今回の日経平均株価の暴落も、本来であれば日本銀行の植田総裁の金利引き上げ発言だけだったはずだが、その後、発表されたアメリカの雇用統計の悪化が、景気悪化懸念につながり、アメリカの金利は大きく下落する、という連想となり、金利引き上げの日本との金利差は大きく縮小し、円が想定外に買われてしまった。円高の進行が日本経済の輸出産業の業績悪化を招くとの予想から、日経平均株価は史上最悪の暴落を招いてしまった。
おそらく、日銀の利上げと雇用統計発表の間隔がもっとあいていれば、こんな形にはならなかったはずだし、仮に株価が下落しても、ここまで大きなものにはならなかったかもしれない。そういう意味でも、市場暴落などの危機は増幅される、と考えていいだろう。
8月5日の大暴落以降、翌日には史上最大の上げ幅になるなど、なんとなく今回の危機は終わったという楽観ムードも漂っている。しかし、さらなる株価下落が連鎖して、増幅されて襲ってくる可能性はまだなくなっていない。
金融相場の暴落は、経済全体に影響する?
一方、株式市場の暴落は金融市場だけではなく、経済全体にも大きな影響をもたらすことを忘れてはならない。1929年のアメリカ大恐慌では、第2次世界大戦が終わるまでアメリカの景気を回復できなかった。株式市場は、資本主義経済にとってそれだけ大きな意味を持っていると考えるべきだ。具体的には次のような影響が考えられる。
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