東上線10000型「当初の姿」貫く東武車両の基本形 運転士からは「ガチャマン」あだ名の由来は?
東洋経済オンライン / 2024年8月16日 7時30分
埼玉県西部と池袋を結ぶ東武東上線は、首都圏の通勤輸送の動脈としてはラッシュ時の混雑度が比較的低い路線だ。都心への利用者が途中駅から地下鉄に分散することもあり、2023年度の混雑率は126%と、東京圏の平均値より10ポイント低い。
【写真を見る】40年前の登場時から変わっていない?ステンレス車体に波状の「コルゲーション」をまとった渋い車両、東武東上線「10000型」の外観や車内、「ガチャマン」の運転台
だが、同線も昭和40年代は定員の倍以上、200%を上回る混雑だった。沿線人口が急増する中、高度成長期から平成にかけての東上線は複線化、車両の増結、そして地下鉄直通と矢継ぎ早に輸送力増強策を講じてきた。
銀の車体にマルーンの帯
そんな右肩上がりの時代に登場してから約40年、ほぼ同じ姿で東上線を走り続けてきた車両がある。銀色のステンレス車体に波状の「コルゲーション」が目立つ「10000型」だ。
10000型が登場したのは1983年。それまで約20年間にわたり、計712両が造られた「8000型」の後継車として開発された。
【写真】40年前の登場時から変わっていない?ステンレス車体に波状の「コルゲーション」をまとった渋い車両、東武東上線「10000型」の外観や車内、「ガチャマン」の運転台
最大の特徴は、それまで一般的だった鋼鉄製に代わってステンレス製の車体を採用したことだ。この2年前に地下鉄乗り入れ用のステンレス車両9000系が試作的に1本造られていたが、「その後の通勤電車の新しい流れとして本格的に採用したのが10000型」と、車両部車両企画課主任の泉川友彦さんはいう。
側面の波状のコルゲーションは、当時のステンレス車両ではよく見られたデザインだ。泉川さんによると、「ステンレス車体は表面が波打つのでそれを隠すために付けていたもの」だが、近年の車両は製造技術の進歩で不要となり、今ではコルゲーションのある車両は貴重な存在となった。磨くとピカピカになり、汚れが目立ちにくいメリットもあるという。
前面はやや丸みを帯びており、前照灯と尾灯を縦に並べた四角いライトが特徴的だ。銀色の車体に「ロイヤルマルーン」と呼ぶ茶色の帯を入れたデザインは、1996年デビューの「30000系」まで続く、一時期の東武車両のスタンダードとなった。
一時期の東武を代表する車種
新機軸は車体だけではない。性能面ではブレーキが大きく進化した。8000型は車輪にブレーキシューを押し当てて止める空気ブレーキのみだったのに対し、10000型は「界磁チョッパ制御」の採用で回生ブレーキを装備。空気ブレーキも、電気信号で制御する電気指令式に変わった。
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