「岸田&バイデン時代」の後に何がやってくるのか 日米関係史の中で「特筆すべき3年間」が終わる
東洋経済オンライン / 2024年8月17日 9時30分
過去をさかのぼれば、1970年代後半の日米関係に「大平正芳とジミー・カーター」という成功例もあった。大平氏は敬虔なクリスチャンであり、カーター氏もまた信仰心の厚い南部人であった。二人の間には深い交流があったと伝えられている。
「岸田文雄とジョー・バイデン」は同じく宏池会とアメリカの民主党の組み合わせとなるが、あいにく「どちらも政治的基盤の弱いリーダー」であった。そしてカーター氏は「1期のみの大統領」で終わり、大平氏は選挙期間中に病いに倒れたのであった。
そして今般、バイデン氏は高齢を懸念されて再選出馬を断念し、岸田氏も自民党総裁としての再選を求めない決断を下した。やはりこの二人、不思議と重なるのである。
最初から息が合っていたわけではない。岸田内閣が発足したのは2021年10月のこと。首相になってすぐに、岸田氏は訪米を希望した。とにかくアメリカ大統領に会って、日米関係を確実なものにしておきたい。それ自体は自然な発想といえるが、ホワイトハウスはなかなか時間をくれなかった。岸田訪米は「おあずけ」を食らってしまったのだ。
今から思えば、アメリカ側は「また日本の悪い癖が始まった」と考えたのであろう。バイデン大統領が就任したのは2021年1月20日のこと。その時点の日本首相は菅義偉氏であった。4月には菅首相が訪米して日米首脳会談を行うが、このときの日米共同宣言は52年ぶりに「台湾海峡の平和と安定性」を書き込むという画期的なものであった。
ところが菅義偉首相は、その年の夏には「自爆」してしまう。おそらくアメリカの民主党の面々は、「ああ、ジンクスは健在だった」と頭を抱えたのだろう。こうなると日本の新首相には怖くて会えなくなってしまう。だって半年後に辞められたりしたら、目も当てられないではないか。それくらい日本政治には悪しきトラックレコードがあったということだ。
アメリカの要求以上のことを実現した岸田首相
状況が変わったのは明けて2022年2月、ウクライナ戦争が始まってからである。国連の常任理事国たるロシアが、国境を越えてウクライナに侵攻したのだから大変なことである。いかに超大国アメリカといえど、核保有国相手に喧嘩は売れない。経済制裁をということになるのだが、そこで重要になるのがG7の合意である。対ロシア金融・経済制裁は前例のない規模のものとなったが、ここから日米の密接な協力が欠かせないものになる。
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