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「岸田&バイデン時代」の後に何がやってくるのか 日米関係史の中で「特筆すべき3年間」が終わる

東洋経済オンライン / 2024年8月17日 9時30分

この年の5月にはバイデン大統領が訪日する。この機会に合わせて「QUAD」こと日米豪印首脳会談が東京で開催され、「IPEF」ことインド太平洋経済枠組みの第1回会合(こちらはリモート参加がほとんど)も行われる。いずれも日本外交が、バイデン政権を強力にアシストしたケースである。

この年の7月には安倍晋三元首相が凶弾に倒れるが、岸田氏はその安倍氏が望んでできなかったことを成し遂げる。年末に行われた防衛3文書(国家安全保障戦略+国家防衛戦略+防衛力整備計画)の閣議決定がそれだ。反撃能力の保有や防衛費倍増といった課題も決定し、まさに戦後防衛政策の大転換であった。

ここに至って、さすがにバイデン政権の誤解も氷解する。戦後長らく日本にとっての対米関係とは、「対日要求をいかに値切るか」がテーマであった。ところが岸田内閣は、「アメリカに要求される以上のことを、先手を取って実現してしまう」のである。

もちろんそれは「アメリカの圧力に屈したから」ではない。日本を取り巻く安全保障環境が激変し、「今日のウクライナは明日の東アジア」かもしれないと認識したからだ。2023年1月に岸田首相は念願かなってワシントンを訪れ、日米首脳会談において「日米の拡大抑止」を確認している。

この年の5月には、広島G7サミットが行われる。ウクライナからウォロディミル・ゼレンスキー大統領がやってきたのもさることながら、筆者の目には平和記念公園でのセレモニーが焼き付いている。

原爆を落とした国と、落とされた国の首脳同士が、共に並んで原爆の犠牲者に花束を捧げる。そしてそのことに対して、異を唱える人がほとんど出てこない。2016年にバラク・オバマ大統領が広島を訪問した際には、数々の障害を越えなければならなかったことを思えば、隔世の感があった。

2023年8月には、キャンプ・デービッドにおいて日米韓首脳会談も行われた。極東にロシアと中国、北朝鮮という厄介な相手がいるにもかかわらず、日韓関係が悪いことはアメリカから見て長らく「のど元に刺さったトゲ」であった。ところが2022年5月に当選したユン・ソンニョル大統領との間で、日韓関係は劇的に改善する。バイデン大統領にとっては「願ったりかなったり」の展開であったことだろう。

アメリカの国賓待遇に応えた岸田首相の議会合同演説

こうして振り返ってみると、今年4月の岸田首相訪米が「国賓待遇」になった意味がわかってくる。同月11日の議会合同演説における岸田氏は、日本国内ではけっして見せないような饒舌さを披露した。あの場で伝えられた以下のくだりは、まさにアメリカが同盟国から「この言葉を待っていた!」というものではなかっただろうか。

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