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「55年前のレシピ」で作ったロールキャベツの味 昭和と現代のレシピで作り比べをしてみたら

東洋経済オンライン / 2024年8月17日 12時0分

② キャベツの芯とタマネギをみじん切りし、オリーブオイルでタマネギが透き通るまで炒めて冷ます。

③ 豚ひき肉、牛乳に浸したパン粉、A(溶き卵・塩・白ワイン・コショウ)と一緒に、ひき肉が白っぽくなり粘るが出るまでよく混ぜる。

④ キャベツの水気をペーパータオルで拭き、ハケなどで薄力粉を葉の内側にまぶして余計な粉をはたく。肉だねを等分に分けて俵型に整え、キャベツできつめに包んで巻き終わりを楊枝で留める。

⑤ トマトを湯むきし、ざく切りして種を取り除く。

⑥ 鍋でみじん切りのニンニクをオリーブオイルで炒め、香りが立ったら、トマトを加えて油をなじませ、B(水、白ワイン、ローリエ)とロールキャベツを加え、ひと煮立ちさせてアクを取り、ふたをして約20分弱火で煮る。塩、コショウで味つけしたら完成。

こちらは材料の種類が多く、しかも同じ調味料が何回も出てくるので、準備に手間取った。キャベツの芯を再利用するが、卵は余りトマトの種も除くので余る。ワタナベ氏の料理家歴は19年でここ数年、脚光を浴びる機会が増えた。料理の説明が合理的で明快だ。しかし、定番料理だからなのか、このレシピは手間がかかる。

実は、これまで私はロールキャベツを作ったことがない。手間がかかることと、キャベツの葉をうまく剥がす自信がなかったからだ。実際、今回も破れ目があるキャベツで包む羽目になった。

しかし意外にも、楊枝で留めても留めなくても形は崩れなかった。昭和レシピはパン粉を入れて丸めて絞り、現代のレシピはパン粉と卵と薄力粉を使う、とまとめる技と材料が何重にも入っているからだろう。

昭和レシピは、肉だねを炒めた際に感じたが水分量が少なく、作りやすく食べやすいがクリーミィさに欠けた。現代のレシピは、手間はかかるが、水分量が多めで味にしまりがない印象を受けた。

キャベツはペーパータオルで拭くだけでなく、昭和レシピのように包んでから絞ったほうがよかったように思う。そしてどちらもあと10分は煮詰めたほうが、キャベツもかみ切りやすく味もはっきりしたのではないか。

昭和の料理のほうが手間がかからない?

肉じゃがと同様、昭和レシピのほうが、味が濃かった。トマトケチャップと生のトマト、固形スープとワインなど使う調味料の違いも大きい。

そしてどちらも、たまたまなのか昭和レシピのほうが意外にも手数がかからない料理になっていた。たまたま、と推測するのは、煮物などは冷蔵庫で保存しない時代を引きずってか、昭和レシピには長時間煮込むものもあるからである。そして、現代のレシピは「時短」と銘打ったものはとことん手間を省くが、今回のレシピは、どちらもよりおいしくするひと手間が目立った。

別の料理で試してみると、別の発見や結論が出る可能性もある。しかし少なくとも、昭和と現代で求める味がまるで違うのは間違いがなさそうだ。1980年代以降は減塩運動が活発になり、塩分を控えてきた結果が、現代のレシピに表れている。ぜひあなたも、昭和と現代の料理を作り比べてみてほしい。

阿古 真理:作家・生活史研究家

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