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「クサウマい」博多ラーメンが東京で増えない理由 豚骨臭、安価なイメージゆえの薄利…だけではない

東洋経済オンライン / 2024年8月18日 14時0分

どちらのチェーンにも共通することが、豚骨の熟成臭を抑えているということだ。豚骨ラーメンの独特の臭みが苦手という声は大きく、できるだけ臭みを抑える方向で博多豚骨ラーメンは全国に広がってきた。

「クサウマ」系の豚骨ラーメン店が広がらない理由

一方で、豚骨ラーメンはその熟成臭があってこそ魅力というファンも多く、「クサウマ」系の豚骨ラーメン店は根強い人気がある。

チェーン店を中心に海外にも広がる豚骨ラーメンだが、この本場感あふれるクサウマ系のお店はなかなか広がらない。都内で食べられるお店もほんの一握りで、豚骨人気とは裏腹、貴重な存在となっている。これだけ豚骨ラーメン人気が全盛のなか、なぜ本場っぽい豚骨ラーメンは広がらないのだろうか。

理由は、大きく分けて以下の4つだ。

(1)物件取得のハードルの高さ
(2)家系ラーメンに顧客を奪われている
(3)技術の習得が難しい
(4)「博多豚骨ラーメンは安い」というイメージ

それぞれ、店主たちの声を交えながら、順を追って解説していこう。

(1)物件取得のハードルの高さ

東京・武蔵境に「きら星」という豚骨ラーメンの名店があった。クサウマ系の豚骨の極みともいえるお店で、年間アワード『TRYラーメン大賞』の常連だった。

しかし、店の前の道路の拡幅工事のため立ち退きとなり、2023年12月末をもって閉店となった。店主の星野能宏さんは移転も一時考えたが、物件取得が難しく断念したという。

「クサウマ豚骨ラーメンでの物件取得は極めて難しいです。そもそも臭いスープを作るのは大変難しく、臭く作れたとしても、近隣住民からの苦情を受け、匂わないスープに変更せざるをえないことになると思います」(元「きら星」星野さん)

その独特な豚骨臭は好き嫌いが分かれるため、苦情になりやすいというのだ。博多であれば街に豚骨ラーメン店があるのが当たり前の光景だが、新店として都内でオープンするには高いハードルがある。

家系ラーメンの台頭と高難度の技術

(2)家系ラーメンに顧客を奪われている

そして、一定のファンを囲い込めれば人気店になる可能性はあるが、まずスタート時の顧客確保が難しいという問題もある。

「同じ豚骨スープであれば『横浜家系ラーメン』のほうが比較的作りやすく、さらに以前より認知度も上がってきているため、最近では家系ラーメンで出店する傾向が見られます。さらに、博多豚骨ラーメンは男性客には麺量が少なく、替え玉前提でお腹を満たすしかないため、麺量が多く、ライスが無料で安価で提供できる家系ラーメン店に顧客が流出している現状もあります」(星野さん)

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