部屋づくりは「モノと自分の調和」が大切なワケ エッセイスト塩谷舞が語るインテリアの探し方
東洋経済オンライン / 2024年8月19日 9時0分
デスクライトは電球の色が変えられるのですが、集中したいときはアイボリー寄りの光に切り替えています。
デスク横に飾ってあるのは、ニューヨーク時代に仲良くなったアーティストのAesther Changがプレゼントしてくれた絵。絵画を直射日光が当たる場所に置くのはダメだと思っていたのですが、Aesther本人が「経年変化していく先も楽しみ」と言っていたので、この場所に飾ってます。西日がキラキラと入る瞬間、絵と重なってとてもきれいなんですよ。
一方、ゲラのチェックはダイニングテーブルですることが多いのですが、そうやって作業環境を変えることで気分が変わり、原稿の修正点も発見しやすくなるんです。
そうやって考えていくと、とくにオンとオフは意識していないのかもしれません。エッセイストという仕事柄、暮らしの中での気づきが文章になることも多いので。
ただ、在宅ワークの難点を1つだけ挙げるとすれば掃除でしょうか。掃除って、一度初めてしまうと細かいところまで気になってしまって、気がつくと3〜4時間してしまうこともある。そうしてばかりだと執筆の仕事が進まないので、基本的には朝20分間のプレイリストを流して、その間だけ掃除をするようにしています。
インテリアは「手になじむもの」を選ぶといい
――塩谷さんのお部屋を拝見していると、アイテム選びのセンスだけでなく“余白”の作り方もこだわっている気がします。
以前にもそう言ってくださる方がいたのですが、余白がある空間を好むのは、私の顔も余白が多いからかもしれないな……と。
例えば、私がもっと彫りの深い顔だったら、にぎやかなインテリアを心地よく感じるかもしれない。顔だけじゃなくて、自分が生まれ持った色素や骨格、雰囲気なども、アイテム選びのときの重要な指標です。
そのことに気づくまでは、例えば店頭で見て一目惚れした北欧のパステルカラーのアイテムを連れて帰って「……アレ?思っていたのと違う」ということもありました。それは「自分不在」で憧れのものを選んでいて、自分と調和できていなかったからだなと。
今は、家具以外の小物も“自分の手を添えたときに、手がみすぼらしく見えない”ことを基準に選んでいます。そうやって自分を中心に据えて物を選んでいると、自然と空間全体が調和してくれる。自分が心地よい空間をつくるためには、まず自分を知ることが大事なのかもしれません。
橘川 麻実:ライター・エディター
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