大波乱後の日経平均は9月以降最高値をとれるか 外国人投資家は割安な日本株をスルーできない
東洋経済オンライン / 2024年8月19日 10時30分
直近の相場から振り返ってみよう。8月16日の日経平均株価は、今年2番目である1336円の上げ幅を記録した。結局、5連騰となって3万8062円で引けた。
5日間合計の上げ幅は3231円で、強い上値抵抗線のように機能すると思われた200日移動平均線も一気に超えてきた。確かに同線とマイナス乖離をしていたのは9日間だけだったこともあるが、抵抗が意外に少なかったのは、長期投資家が1日としては1987年のブラックマンデー翌日を上回った今回の激しい下げを「意に介さず」で対処したことを表している。
「余裕筋に安いところを拾われた」今回の大波乱相場
東京証券取引所の発表によると、8月5日から9日までの5日間で東京と名古屋の証券取引所で売買された株式は、金額ベースで約79兆6450億円となった。これは従来の記録(日経平均が初めて4万円を超えた今年3月4日の週)を12兆円あまり上回り、比較可能な1996年以降で最も多くなった。やはり5営業日の売買高も158億3270万株と最高で、おそらく当分破られない記録だろう。短期投資家にとっては「史上最大の激しい攻防戦」だったことを物語っている。
確かに8月5日の日経平均4451円安は、約5兆円の信用買い残を持つ個人投資家を追い詰めることになった。だが、日経平均のEPS(予想1株当たり利益)は過去最高を維持しており、一時は1ドル=141円台まで進んだドル円相場も、日本銀行の2回の利上げとアメリカのFRB(連邦準備制度理事会)の2回の利下げをほぼ織り込んだ。
しかし、このときの主体別売買動向を見ると、対内証券売買契約(財務省ベース、外国人)は5219億円の買い越し、東証ベースで見ても4953億円の買い越しとなったように、外国人投資家は先物で1兆2725億円を売り越した反面、現物ではしっかり買っている。また、事業法人も5060億円の買い越しと、2015年12月以来の高水準だった。株価が急落した局面で、多くの企業が自己株買いを実施したとみられる。
結局、「余裕筋に安いところを拾われた」というのが今回の大波乱相場だったことになる。
再び円キャリートレードが活発になる?
冒頭でも記したとおり、しばらく底値固めかと思われた日経平均はV字回復となって、7月11日の史上最高値4万2224円から8月5日の3万1458円までの下げ幅の61.34%を取り戻した。「半値戻しは全値戻し」の格言にあるように、今後の展開には明るさも見えてきた。しかし、このまま上昇し、再び史上最高値をとるのか、波乱があるのか、投資家の悩みは尽きない。
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