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セブンがガチ買収提案される「日本のヤバい現実」 次に狙われる「お買い得」な大企業はどこか?

東洋経済オンライン / 2024年8月20日 20時30分

しかし役員会がこの買収提案を拒否すれば、時価総額は元の4兆円台に戻ります。株主は大損することになるでしょう。この場合、本来の取締役会は株主の側に立つ判断をしなければいけないのです。

セブンに買収提案をした背景

今回、アリマンタシォン・クシュタールがセブンに買収提案をした背景はおそらく2つあります。1つはそもそも同社がグローバルで買収を通じて拡大する戦略をとっていること、そしてもう1つは近年物言う株主とのバトルに経営陣の意識が向かっているせいで、セブン-イレブンが本来達成できるはずのグローバル市場での成長余地がまだ低いことでしょう。

物言う株主から見れば西武百貨店問題やイトーヨーカドー問題に経営陣が時間をとられすぎていてアジアでの成長スピードが遅い。本来は日本の時価総額ランキングのトップ10に入って10兆円企業になれているはずのセブン&アイが、いまだに株価が低くとどまっています。ですから「買収後の成長余地が大きい」とみれば外資は買収に動くものです。

さて、このメカニズムを前提に考えると、実はセブン&アイよりももっと危険な日本企業は山ほどあります。これまで日本の大企業が外資に買われるケースは、経営が立ち行かなくなって、日本企業がどこも手を挙げないようなケースばかりでしたが、これからは違います。業績がいい企業でも折からの円安と、世界的に見れば安い株価が呼び水になって、あっと驚くような優良企業が買収リスクにさらされる時代が来たのです。

条件としては、

1 本来はグローバルでもっと成長できる余地があるけれどもそれができていない
2 時価総額が5兆円以下と円安環境下では外資にとって比較的買収しやすい
3 社外取締役会がプロ経営者中心
4 安全保障と関係がなく、政府が買収阻止に動く可能性が低い

という4条件を満たす企業の買収リスクが大きいことになります。

これからはそんな企業に次々と買収提案がつきつけられるかもしれません。おそらくそれまでこんなリスクを想定したことなどないはずの大企業を3社ほど例に挙げて、これからどんなことが起きるのかを考えてみたいと思います。

①資生堂をロレアルないしはP&Gが狙う

資生堂は時価総額1.4兆円(2024年8月19日時点、以下同じ)です。日本を代表する化粧品ブランドであると同時に、中国・アジア市場で非常に強いブランド力を持っています。

資生堂はコロナ禍前の2019年までは経営が好調だったのですが、それ以降、大きく業績を下げ、株価が低迷しています。そのため経営陣は中国市場の中低価格帯の化粧品ブランドを売却したり、日用品部門を別会社化したうえでやはり売却したりと、戦略は縮小均衡傾向にあります。かつて人気だったシャンプーの「TSUBAKI」もすでに資生堂の手を離れています。

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