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セブンがガチ買収提案される「日本のヤバい現実」 次に狙われる「お買い得」な大企業はどこか?

東洋経済オンライン / 2024年8月20日 20時30分

このように彼らの戦略を考えるとヤム・ブランズにとってゼンショーは非常に手に入れやすい安価な日本企業だと目に映るのではないでしょうか。そしてゼンショーに限らず、アジアで成長している外食と、すし大手は、どちらも買収リスクを念頭におく必要が出てきそうです。

③日清食品HDをクラフト・ハインツが狙う

「うちはまず大丈夫だろう」

経営陣がそう考えていそうな安定した大企業の名前を1つ挙げておきましょう。カップヌードルで世界展開する日清食品HDです。経営も好調ですし、死角はないと経営陣は考えているのではないでしょうか。

しかし死角はあります。時価総額が1.2兆円と安いこと。円安の昨今、企業の価格としては激安企業のひとつなのです。

グローバルの食品大手であるクラフト・ハインツという会社があります。チーズのクラフトとケチャップのハインツが合併した会社で時価総額は6兆円と日清食品を大きく上回ります。

チーズにしてもケチャップにしても成熟市場です。ですからこの企業、株価を成長させるためには商品ラインナップを広げる以外に方法はありません。実際、主力商品としては乳製品、チーズ、調味料に加えて、スナック菓子、インスタント食品、飲料などほぼほぼスーパーマーケットで手に入る加工食品全体へと手を広げています。

そもそもグローバルな食品ブランドは、主力商品の成長では大きな成長は望めません。そのために巨大ブランドを買収することが成長の有力な戦略として定着しています。1980年代にたばこ大手のRJRがナビスコを買収したのがその象徴的な出来事でした。ナビスコは今では食品業界3位のモンデリーズの傘下に入っています。

そのような戦略を前提に考えると、日清食品という企業はグローバルな食品大手にとっては買収候補に映るでしょう。中でもクラフト・ハインツにとってはカップ麺という商品は自社の成長戦略の延長戦上にある魅力的な商品群に見えることでしょう。

「そんな買収が起きたら、日清のカップ麺はマカロニにケチャップがかかったものに変わってしまうんじゃないのか?」

と心配する読者もいらっしゃるかもしれません。実はそんな心配がこれから先の日本に降りかかるかもしれません。なにしろアメリカのカップヌードルはアメリカ人のテイストに合わせて、日本人にはあまりおいしいと感じられない味付けになっています。

さらに言えばグローバル食品業界では、買収後数年でまた経営陣が交代すると、戦略がころころと変わります。たとえば日清食品を買収した企業は、数年後にはグローバルに成長できるカップ麺だけを残して、袋麺は売却するかもしれません。そうなれば伝統あるチキンラーメンはどうなってしまうでしょう。これからは日本人はそんな心配をしなければならなくなるかもしれないのです。

日本企業にとって対岸の火事ではない

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