セブンがガチ買収提案される「日本のヤバい現実」 次に狙われる「お買い得」な大企業はどこか?
東洋経済オンライン / 2024年8月20日 20時30分
結果としてハイエンドの化粧品ブランドが資生堂を支えている構造ですが、この構造はロレアルやP&Gといった海外の化粧品大手にとっては魅力的な構造ではないでしょうか。
外資にとっては円安でドル建ての企業価値が激安になっていることに加えて、中国経済の不況で資生堂の中国事業が当面うまくいかないだろうという状況が追い風になります。当面安い状態が続くので買収しやすいのです。そしてうまく資生堂を買収できれば、中国経済の回復とともに資生堂の価値は回復し十分なリターンが得られると考えるのです。
このように足元の業績がふるわず株価が低迷する一方で、グローバル市場に通用する商品をもっている企業は、これから買収リスクが本格化すると思われます。
②ゼンショーをヤム・ブランズが狙う
さて、足元で業績が絶好調の日本企業に買収リスクが突如表面化するケースもこれからは出てくるかもしれません。
ゼンショーは日本の外食企業の勝ち組で時価総額は1.1兆円です。すき家、はま寿司、ココス、なか卯などの外食業態が国内では有名ですが、実は店舗数は海外のほうが多いのです。
なかでも成長が著しい領域がふたつあります。すき家を中心とするグローバル牛丼ビジネスはアジア・中国で大いに成長しています。一方でグローバルな寿司ビジネスも好調で、買収を重ねた結果、欧米の持ち帰り寿司部門が大きな経営の柱になっています。このアジアでの成長と、欧米の寿司の成長は、どちらもグローバル外食大手にとっては魅力です。
グローバル外食の大手企業というと上位3社はスターバックスコーヒー、マクドナルド、サブウェイのように圧倒的なブランド業態で拡大してきた企業です。これらの会社にとってはゼンショーは興味の対象外かもしれません。しかし外食のグローバル4位に位置するヤム・ブランズにとってはゼンショーは違って見えるでしょう。
ヤム・ブランズはKFC、ピザハット、タコベルを傘下に持つ外食のコングロマリットです。言い換えるとゼンショーと似た戦略をとっていて、多業態での成長をよしとする企業グループです。
ヤム・ブランズの過去の成功体験は、KFC、ピザハットのような伝統的なアメリカ人向けの業態に加えて、移民の増加を背景にメキシコ料理であるタコベルで成長したというのが成功の方程式だったはずです。
その成功体験を考えた場合に、ヤム・ブランズにとってのフロンティアは2つ考えられます。1つは欧米で成長が著しい寿司ビジネス。そしてもう1つは中国・アジア市場での成長です。
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