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日系だけじゃない「中国で車売れない」広がる悲鳴 ドイツメーカー、現地メーカーも大変な状況

東洋経済オンライン / 2024年8月21日 9時0分

そしてメーカー以上に苦しいのが、ガソリン車の販売代理店だといわれる。

中国自動車販売店大手の広匯汽車服務集団は今年7月、株価が低迷し上場基準を維持できなくなったため、上場を廃止すると発表した。

同社はBBA、トヨタ、ホンダなど海外合弁ブランドの自動車販売を手掛けているが、販売減や価格競争で業績が悪化していた。

今年5月下旬にはポルシェと中国のディーラーとのトラブルも表面化した。

ポルシェは世界販売の4分の1を占める中国で2022年、2023年と2年連続で販売が減少した。2024年1~6月の販売台数は前年同期比33%減の2万9551台で、世界販売も7%減の15万5900台にとどまった。(ちなみに日本は過去最高の4676台を記録、5年連続で増加している)

現地メディアによるとポルシェ中国は2024年の販売目標を7万台に設定していたが、ディーラーは値引きを拡大して販売するため、ほとんど利益が取れない。ディーラーは仕入れ拒否も辞さない姿勢で、損失の補填を求める抗議文書をドイツの本社に送った。ポルシェ側は、ディーラーの訴えを無視できず、中国のCEOを9月1日付で交代すると発表した。

今年前半は仁義なき値下げ競争の様相だったが、“ポルシェの乱”などをきっかけに、海外メーカーは現実を受け入れ始めた。

BMWは7月、価格競争から離脱。販売目標を引き下げる方針に転じ、逆に値上げした。

同ブランドは昨年以降販売店での値引きが徐々に拡大し、今年前半は車種によっては100万円以上実売価格が下がっていたが、今年1~6月の中国販売は前年同期比4.2%減の37万5900台にとどまった(ちなみに同じドイツ勢で、値引き販売が拡大しているメルセデス・ベンツも同期間の販売は6.5%減少した)。

値引きをしても販売が増えなければ、高級ブランドとしての価値が損なわれ、中古車価格が低下し、ディーラーの傷も広がるなど泥沼である。だったら、中国の生産能力を削減し、利益を確保したほうがましということだ。ホンダや日産の中国工場閉鎖もその流れに沿っている。

国有企業の経営実態も苦しい

ただ、外資メーカーは撤退したり身を縮めて嵐を回避すればいいが、合弁相手の中国国有企業は雇用や生産で国のKPIを負っており、簡単な話ではない。

トヨタとホンダが合弁を組む広州汽車集団も、日本企業との合弁で成長した歴史を持つだけに、経営はかなり苦しい。

【2024年8月21日10時半追記】初出時、合弁の表記について事実と異なる部分がありましたので、上記のように修正しました。

合弁を組んでいた三菱自動車が撤退した際には、その生産設備を広州汽車傘下のNEV(新エネルギー車)メーカー「広汽埃安新能源汽車(AION)」のEV工場として転用したが、実は今年はAIONの販売も思わしくない。広汽集団の今年前半の販売台数は前年同期比25.79%減、頼みの綱のNEVも同30.61%減少した。

EVも含めて生産能力が明らかに過剰となっている中、工場を閉鎖したとしても、譲渡先や従業員の雇用先が見つからない。2~3年前とは大きく状況が異なり、日系メーカーの生産削減の調整も難航している。

8月中旬にはGMが中国で大規模リストラを行うと報道されたが、同社は肯定も否定もせず、「(合弁先の)上海汽車集団とのパートナー関係は変わらない」と歯切れが悪かった。

日系に限らず、中国の自動車業界自体が「とにかく大変」なのだ。

浦上 早苗:経済ジャーナリスト

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