ドル円レートの「正しい理論値」など存在しない だからこそ意図的に歪みを加えてはいけない
東洋経済オンライン / 2024年8月24日 21時30分
このような構造の下では、為替市場はどうなるか。投機家のやりたい放題になるのである。
為替売買の実需は実体経済にも金融資産運用市場にも存在する。そして、それは論理が成り立つから予想できる。となると、必ず出てくる需給を利用して、投機的に振り回してさやを抜く、ということが合理的になってくる。相手は必ず売買しないといけないから、為替水準が変動しても、その新しい水準で需給が出てくる。それを狙いすまして、先回りして売買することができるのである。
そして、弱い投機家を強い投機家がカモにする、ということも生じる。つまり、為替の動く方向には理屈が立つから、今述べたような投機的動きをする投機家がいる。
しかし、彼らも方向は予想し、それを利用しようとするが、それがどこまで動くかは予想できない。理屈がないから予想でないのだ。それを利用して、強い、つまり為替市場に影響力の大きい投機家が彼らを手玉に取って、大きく振り回すことで儲けることが可能になり、実際そうするのだ。
その結果、為替はオーバーシュート(行きすぎること)も起こりやすくなるし、かつ一度同じ方向に動き出すとそのモメンタム(一方向への流れ)が止まらず、オーバーシュートの乱高下をしながら、かなりの期間、同じ方向に動き続ける。
いったん円安の流れになったらしばらく止まらないし、転換点が来たら、今度は円高方向しかありえない。しかし、皆がそう思っているから、一気に円高が進んでも、進みすぎかどうかは判断できないから、その流れに乗るが、しかし、強い投機家は、オーバーシュートを意図的に作りながら儲けることができる。
このように、強い投機家によって、為替相場は短期的には作られることが多いが、長期的な動きは、一部の投機家の意図では支配しきれない。大きな投機家集団、世の中全体の「群衆的な」動きによって決まってくる。それは誰にも予想はできないし、支配もできない。しかし、その流れで決まってくるのが現実だ。
その結果が、今の1ドル=145円前後なのである。今145円で125円でないのは、あるポイントからオーバーシュートとモメンタムを繰り返した結果なのである。
そして、そのあるポイントとは、1ドル=360円と1949年に決められたポイントなのである。そして、それが1971年末まで続けられたからであり、1973年まで1ドル=308円にしたからであり、1973年に308円スタートで変動相場制に移行したからである。
この記事に関連するニュース
-
日経平均株価「史上最大の暴落」は「秋からはじまる株価上昇」の予兆!?…今後の日本株式に期待できるこれだけの根拠【経済の専門家が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月24日 9時15分
-
日本銀行の独立性を殺したのはいったい誰なのか 歴史に禍根を残すことになった「8.7内田会見」
東洋経済オンライン / 2024年8月18日 9時30分
-
浜田宏一「インフレを退治し、ドル円の為替レートを安定化するには長期・短期の利上げが避けられない」
プレジデントオンライン / 2024年8月17日 9時15分
-
ドル/円急上昇、149円台へ。来週前半の円安のメドは?
トウシル / 2024年8月16日 10時12分
-
“史上2番目”2200円超暴落の日経平均「下落はまだまだ終わらない」市場を覆う“恐怖の元凶”とは
日刊SPA! / 2024年8月4日 11時30分
ランキング
-
1焼き肉店に逆風…コロナ禍の出店増から一転、輸入牛肉の価格高騰で倒産が過去最多ペース
読売新聞 / 2024年8月24日 14時13分
-
2お金は知っている 生産バブル崩壊、中国から日本企業はどう撤退するか 習主席号令、延々と続く過剰生産と過当競争「言うは易し、実行し難し」の実情
zakzak by夕刊フジ / 2024年8月23日 6時30分
-
3U-NEXT「サッカープレミアリーグ独占配信」の成算 競争激化のスポーツ領域で勝負、放映権料も高騰
東洋経済オンライン / 2024年8月24日 8時0分
-
4処理水放出、埋まらぬ溝=対中国、WTOに活路―政府
時事通信 / 2024年8月24日 15時53分
-
5どうして?「赤字なのに操業を継続する」企業が多いワケ【経済評論家が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月24日 9時15分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください