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ドル円レートの「正しい理論値」など存在しない だからこそ意図的に歪みを加えてはいけない

東洋経済オンライン / 2024年8月24日 21時30分

それは「正しい」水準が存在しないので、戻っていくべき為替レートというものが存在しないからである。ファンダメンタルズがないから、戻るべき理論値もないし、アンカー(錨)となる拠り所もないのである。

唯一の拠り所は、昨日までの為替水準であるが、昨日の為替水準にも正しい理論値はもちろん存在していなかったから、昨日までの水準から今日ズレたからと言って明日戻っていくはずがない。

つまり、為替水準は、常に365日、正しくないところにあるのであって、なぜその水準かというと、たまたまそこに為替水準があった、ということだけなのだ。既成事実として存在していた、という以外のことは何もないのである。

では、なぜ為替はそこから「ズレ」たのか?いや、そこから動いたのか?


ここに需給が登場する。誰かが売ったから下がったのであり、誰かが買ったから上がったのである。

為替に需給が生じた「3つの原因」とは?

では、この需給が生じた原因は何なのか?それは、第1に、論理が出てくる場合と、出てこない場合がある。第2に、実体経済からの生じた需要と供給の場合と、金融資本市場からの売りと買いの場合がある。第3に、金融市場から需給に関しては、運用ニーズというある種の実需の場合と、投機的需要の場合とがある。

そして、この3つの軸からの、さまざまな違う需要と供給が入り混じるために、為替レートは1つの論理では説明できない動きをすることになるのである。

論理が出てくる場合とはどんな場合か。例えば、日本の貿易赤字が増加して、輸入のためにドルが必要だから、ドル買い円売りが出る、というのは1つの論理である。これは実体経済の貿易によるものだ。次に、金融市場では、アメリカの金利が上がったから、ドルでの運用ニーズが高まり、ドル買い円売りが生じた、という論理がありうる。

「なんだ、論理があるじゃないか!」と思われるかもしれないが、これは為替水準の論理ではなく、為替の変化の方向の論理なのである。貿易赤字が増えれば円安方向、アメリカの金利が上がるのも円安方向、という論理はある。しかし、では、今の1ドル=145円が150円になるのか155円になるのか、ということに関しては、何も言えない。さらに、145円と155円とどちらが長期的に正しいのか、ということはそれ以上に一切何も言えない。

つまり、何か世界に変化が起きたときに、為替の変化の方向には理屈はあるが、その変化の幅には理屈がない。その理由は、もともと正しい絶対水準というものが、なんらかの目安ですら存在しない、ということが変化の幅が決まらない、ということを助長している。

かくして為替市場は投機家のやりたい放題に

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