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顧客満足度1位のホテルが実施している研修の中身 緻密なマニュアルはなく、スタッフの8割がアルバイト

東洋経済オンライン / 2024年8月26日 17時0分

スタッフのおもてなしスキルの向上に役立つワークショップ「観察力・想像力を養う教育プログラム」を実施している(写真:スーパーホテル提供)

顧客満足度調査9年連続1位(※)のスーパーホテルには、緻密なマニュアルもなく、スタッフの8割をアルバイトが占めます。なぜ、優れたおもてなしを提供できるのか、京都大学との共同研究から見えてきたポイントを、『スーパーホテル「マニュアル」を超えた感動のおもてなし』より一部抜粋・再構成のうえご紹介します。

(※J.D. パワー“ホテル宿泊客満足度<エコノミーホテル部門>”)

京都大学とスーパーホテルとの共同研究

京都大学経営管理大学院では、「サービス」を対象とするMBAコースを開講するなど、次世代のサービス革新を担う人材の育成に努めてきました。その一環で、京都大学とスーパーホテルは、「共同研究」という形で、サービス・おもてなしについて深掘りしています。

この共同研究では、まず「優れたおもてなし」の優秀さとはどういうものなのかについて、スーパーホテル側と京大側とで共通認識を作り上げました。この認識にズレがあると、求めるアウトプットが正確なものではなくなってしまうからです。

スタッフのホスピタリティマインドを計測するための観察調査は、調査者が手元に持つチェックイン業務に関するマニュアル・チャートを参照し、そこに書かれている手順通りに手続きを進めているかどうかを確認しながら進められました。

マニュアルは、あくまでも基本的な流れとして設定されたものです。お客様の様子や実際の振る舞いに臨機応変に対応すれば、多少はマニュアルから逸脱することはあります。場面ごとで、お客様へのサービスレベルがよりアップするようなマニュアルからの逸脱であれば、それはむしろ歓迎すべき行動や振る舞いといえます。

スタッフの動きを観察していると、優秀者も標準者にも、ある程度、マニュアルとは異なる行動や振る舞いが見られました。しかし、そのこと自体は問題ではなく、研究チームが注目したポイントは、その理由にありました。
マニュアルと異なる手順でチェックイン手続きが進められた際に、その後のインタビューで「あのとき、なぜ、あのような行動をしたのですか?」と問うと、標準者の多くは「自分だったら、こうしてほしいから(あるいは、自分だったら、こうしてほしくないから)」という理由でした。

自分自身がお客様の立場だったら、という視点が軸になって、よりお客様のためになる行動や振る舞いを行っていたということです。

これは、ある意味で主観的な状況判断だといえます。あるいは状況判断が主観的というよりも、状況観察の視点が主観的だということもできます。

相手の行動の原因を考えて対応できるかどうか

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