「中国AI」はChatGPTを超えるか?驚く実態(前編) 【現場報告】「未来のBAT」はどこから生まれる?
東洋経済オンライン / 2024年8月26日 9時30分
当時はまだ、「WeChat」のユーザー数は5000万人ほどでした。
スマホシフトに成功した新しいコミュニケーションアプリとして紹介し、「これを起点として新しいビジネスの機会が生まれるのでは」という記事を書いたのです。
12年を経たいまでは、「WeChat」はすでに1カ月あたりのアクティブユーザー数が13.59億人(2024年3月末時点)に達しています。
単なるコミュニケーションツールの枠を超え、ミニアプリや決済機能など多岐にわたる機能を保有するスーパーアプリに成長しました。
運営するテンセント社は中国で最大のインターネット企業のひとつであり、時価総額は4490億ドルを超えます。
私自身もこの12年で立場が大きく変わり、ここ数年は広告代理店という立場で、テンセントのサービスの日本での展開をサポートするようにもなりました。
いま北京にて、12年前の「WeChat」の隆盛を強く予感したときの雰囲気を、生成AIの業界にも感じはじめています。
急成長を遂げる中国の生成AI
では、中国企業では具体的にどのような生成AIを生み出し、急成長を遂げているのでしょうか。
例えばBATでは、バイドゥが「Ernie Bot(アーニー・ボット、文心一言)」、アリババが「Tongyi Qianwen(トンイー・チェンウェン、通義千問)」、テンセントが「Hunyuan(ホンユァン、混元)」という自社のGPTをすでに展開しています。
TikTokを展開するバイトダンスも「Cici(シシ、豆包)」、ゲームで有名なネットイースも教育特化型の「Ziyue(ズユェ、子曰)」を展開しています。
それぞれのAIサービスユーザー数は、バイドゥは3億人、アリババは企業ユーザー数23万人、テンセントはデイリー使用回数2億回、バイトダンスは1カ月あたりのアクティブユーザー数2600万人と言われています。
BAT以外のスタートアップ業界にも投資マネーは流れ込んでいます。
中国政府の中国信息通信研究院(情報通信研究院)によると、すでに中国のAI関連企業は4469社も存在していると言われています。生成AIも数百サービスリリースされており、最大のサービスの利用者数は3億人にも達しています。
そのうち時価総額1000億円を超える生成AIのユニコーン企業が、直近1年間で17社も誕生しているのです。
「次のBAT」と目される生成AI企業は?
それらのスタートアップ企業の中で、最も時価総額が大きいのがムーンショットAI(月之暗面)です。時価総額は約3780億円(CNY180億元)を超えています。
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