「中国AI」はChatGPTを超えるか?驚く実態(前編) 【現場報告】「未来のBAT」はどこから生まれる?
東洋経済オンライン / 2024年8月26日 9時30分
創業者の楊植麟氏は、1993年生まれ。中国の名門精華大学を優秀な成績で卒業し、FaceBookやGoogleでも業務経験を持つ、エンジニア出身の起業家です。
アリババやテンセントは自社の生成AIサービスを保有しているのにもかかわらず、このムーンショットAIにそれぞれ8億ドル、3億ドルを投資しているほどの有望スタートアップです。
ムーンショットAIが開発した生成AI「Kimi(キミ)」のPC版へのアクセス数は2004万件に達し、バイドゥの「Ernie Bot」をすでに上回っています。
また、アプリユーザー数は5897万人に達し、WeChatのミニプログラムのMAUは91.1万人を超えました。
ChatGPTと比べてまだサービスのクオリティに差があるようにも感じます。
しかし、大手もスタートアップも投資家もこの業界に大量参入し競争が激化していく中で、アメリカと中国の差は確実に縮まりつつあるというのが実感です。
ユーザー数を公表しているAIサービスは一部だけなので、シェアの比率の詳細は不明ですが、周囲の使用状況を見ていると、バイドゥの「Ernie Bot」とムーンショットAIの「Kimi」を日常的に使用している人が比較的多い印象です。
また、「Ernie Bot」は文章を基にパワーポイントの資料を自動生成することもできるため、この機能を活用している人も少なくありません。
将来のBATが、いままさに生まれようとしているのかもしれません。
中国で「ChatGPT」が生まれなかった訳
「アメリカのAI企業は、資本力と政治的背景で優勢があったがゆえに、中国AI企業よりも先を行っている」
これは、生成AIの会社を経営している中国人の友人の言葉です。
「ChatGPT」がなぜ中国ではなくアメリカで生まれ、縮まりつつあるとはいえ、なぜまだアメリカと中国で差があるのでしょうか。
AIサービスの良し悪しは、
①データ量 ②技術力 ③半導体
この3つのクオリティで決まります。
実のところ、すでに中国は「①データ量」「②技術力」ともに、アメリカに追いつきつつあるといえます。
データ量において、14億人の国民が存在する中国は、インターネットユーザー数が世界一のデータ大国です。技術力においても、優秀なエンジニアを数多く抱え、世界トップレベルのAI技術力を誇っています。
唯一、アメリカと差があるのが「③半導体」です。
アメリカは、豊富な投資マネーと政治的な力学で、世界のクオリティの高い半導体をかき集めることができます。その差が、AIサービスのスピードとクオリティに差をもたらしている可能性があるということです。
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