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「え!」と思わせるキャッチコピーをつけるコツ 流行は「いい違和感と奥行き」でできている

東洋経済オンライン / 2024年8月27日 17時0分

先ほどの「違和感と奥行き」というのはまさにこれ。日々忙しい人に立ち止まる「間」を生むためには相当の違和感が必要だし、その人を奥へ奥へと引き込むためには、キラッと光って人を魅了する「何か」をずっと奥まで並べておく必要がある。そして僕はこの「何か」の正体こそが「ストーリー」だと思っている。

ストーリーの定義はさまざまにあるが、僕はビジネスにおいてのストーリーを「欲しくなり、話したくなるモノがたり」と定義している。大切なのは「モノ」ではなく「モノがたり」であること。

モノの周りにある語れる話こそがストーリーになるわけだ。もちろん「欲しい」は「行きたい」とか「参加したい」とかいう言葉にもなるし、モノがたりがコトがたりであることもあるのでそれは各自が仕事に合わせて変換してほしい。

ここで、まずはひとつ頭の体操をしてみよう。以下の3つの中で最も欲しくなるヘッドフォンはどれか?

1:先端技術を使い高品質な音を届けるヘッドフォン
2:アップルが30億ドルもの大金で買収したブランドのヘッドフォン
3: カリスマ「Dr. Dre」が生み出し、多くのヒップホップスターが愛しているヘッドフォン

おそらく1を挙げる人は少ないだろう。先端技術も高品質も「違和感」がなく、誰かに話したくならない。それに対し、2と3はどうだろう? アップルがどうしても傘下にしたいと願ったブランドなら凄そうだし、ドクター・ドレーは知らなくても多くの有名人が愛用しているなら、これまた欲しくなるかもしれない。

実はこの3つはどれも「Beats by Dr.Dre 」の正しい情報だが、伝えるストーリーによってブランドの捉え方が変わるし、購買意欲も変わる。

その他にも、99セントで購入した置物に「その置物の作家の父にまつわるフィクション」をつけて売ったら62ドルになったという話もある。言葉だけで価値が60倍にもなる。それがストーリーの力だ。もちろん噓はいけないが、ストーリーは「欲しい」という思いを加速させ、広げる力を持っている。

例えばファッションブランドのエルメスは「馬具メーカーが始まりなので皮の扱いは超一流」「グレース・ケリーなど有名女優も愛用した」「一度買えば一生直してくれる」などさまざまなストーリーを持っていて、それらが人から人へと伝播し、超一流ブランドとしての地位を築いている。

ルイ・ヴィトンは新進気鋭のファッションデザイナーであったマーク・ジェイコブズやヴァージル・アブローをクリエイティブ・ディレクターに招いたことで、革新的なデザインストーリーをブランドに取り込み、一気に最高ランクにまで駆け上がった。

手にしたい衝動、語りたくなるような物語

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