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自分を肯定する情報だけを正しいと思う人の結末 考えを修正できる人とできない人とで広がる格差

東洋経済オンライン / 2024年8月27日 11時30分

自分の考えていることを修正できている人と、できずに自己強化していく人で二極化する(撮影:今井康一)

若者と接する場面では、「なぜそんな行動をとるのか」「なぜそんな受け取り方をするのか」など理解しがたいことが多々起きる。

企業組織を研究する経営学者の舟津昌平氏は、新刊『Z世代化する社会』の中で、それは単に若者が悪いとかおかしいという問題ではなく、もっと違う原因――たとえば入社までを過ごす学校や大学の在り方、就活や会社をはじめビジネスの在り方、そして社会の在り方が影響した結果であると主張する。

本記事では、著者の舟津昌平氏と組織開発コンサルタントの勅使川原真衣氏が、Z世代を通して見えてくる社会の構造について論じ合う。

すぐに結論を出さない誠実な態度

勅使川原:『Z世代化する社会』は、Z世代を通して社会を読み解いた本で、中には若者をディスっているところはありますが、それは先に社会の構造があって、その中で合理的な判断をした結果だということを論じていますよね。若者が悪いと断定せずに、なぜそんな言動をするのかをまず問う。その丁寧なひもときが、僭越な表現ですが、秀逸でした。と同時に、研究者の方らしいなとも思いました。

【写真】Z世代を通して社会構造を読み解く舟津昌平氏

舟津:ありがとうございます。ディスるのと、きちんと観察することは別なんですよね。ある同業者の方からは、「学生の生活世界を誠実に見ようとしている」と評価していただきました。

すごくうれしいと同時に、仮に私が少しでもそうできていたとしたら、やっぱり自分が誠実でないことがわかっているからだと思うんです。わざとらしいほどに不誠実であることを自覚して誠実にやろうとしないと、不誠実になってしまう。

勅使川原:大学の先生は、いろんな意味で特権階級ですもんね。

舟津:そうなんだと思います。私も含めて多くの人は誰かを悪者にしたがるし、傷つけたくなる。われわれはつねに自覚なく、何らかの差別をしていると思います。だからこそ、そのことに気をつけてつけすぎることはない。若者のことは何も知らない、だから知ろうとするんだ、と。若者論の多くは、わかった感が出すぎているように思います。もちろんそれはセールストークだということを前提としても、いかにも私は若者をわかっていますよ、という売り方をされるじゃないですか。

勅使川原:その瞬間に、理解から離れてしまっているのに。

舟津:そうなんですよ。勅使川原さんの問題意識でいえば、「能力とはこういうことで、このテストで完璧にスコア化できますよ」と言った瞬間、能力とは別のものになっているし、理解を離れているんですよね。そういうツールにはもちろん意味もありますけど、完璧でないことを理解しないと、それを絶対視する傾向が強まってしまう。

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