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3週間で完売「未来のレモンサワー」再販までの道 世界初レモンスライスを入れた缶チューハイ

東洋経済オンライン / 2024年8月28日 10時0分

「これまで果肉を入れた商品はあったが、スライスそのものを入れる技術は実現が難しく、トライできていなかった」と説明するのは、商品開発において全体のコンセプト立案などを担当した、アサヒビールマーケティング本部新ブランド開発部担当課長の山田佑氏だ。

実現を困難にした「衛生管理面の問題」

実現を困難にしていたのが衛生管理面の問題だという。菌や微生物を発生させず、品質を担保できるかどうかという点が、もっともハードルが高かったようだ。

それにもかかわらず、難問に挑戦することになったのは、社内に「このままでは未来がない」という共通の思いがあったからだ。

「RTD市場では多くの競合から次々に新しい味が発売され、消耗戦になっていた。目先のシェア争いでなく、当社しか実現できないことをやりたい、という思いがあった。レモンスライスが困難ではあるが、『いい未来』というゴールにつながる挑戦として共有できた」(山田佑氏)

マーケティング本部、開発部が一体となり、かつてない横連携のチームがつくられて、2021年初頭から開発がスタートした。

大きな課題であった衛生面については、レモンスライスを液糖になじませ、乾燥させるアイデアを採用してクリア。なお、缶の中でサワー液に浸かっている間にドライレモンに水分が戻り、味わう際にはみずみずしい色、食感になっている。

開缶すると浮き上がるのはどのような仕組みなのだろうか。

「動力は炭酸が抜ける力のみ。その力で浮き上がるスライスの厚みを追求し、結果的に5mmの厚さがベストだった」

これに、2021年発売のヒット商品「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」で開発したフルオープン缶の技術を組み合わせた。開口部が大きいので、レモンスライスがしずしずと浮き上がってくる様子がよく見える。

缶の口は内側に曲げてあるので、このまま飲んでも、缶の切り口で怪我をすることはない。

「商品化において次の課題となったのがレモンの供給体制。口に入れるものなので、収穫後に薬剤を使用しないレモンを安定供給できる産地を探すところから始まった」

最終的に選ばれたレモンの産地は中国四川省。また、収穫されたレモンは選別のうえ、山口県の協力工場に送られ、規定の厚みにカットし、缶詰めが行われる。レモンスライスを缶に充填するためのロボット「パラレルリンクロボット」をアサヒビールにおいて独自開発し、工場のラインに組み込んだそうだ。

原料供給と生産ラインの拡大が今後の課題

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