過去の経験を今までよりも20%超生かす方法 簡単な方法で有益な教訓を得ることができる
東洋経済オンライン / 2024年8月28日 16時0分
しかし教育分野以外では、省察の実践機会は限られている。社会人の間で内省が行われるのは、誕生日や新年のような節目、定期の業績評価、あるいはコーチがいる人ならその指導によってということが多い。
締切りに間に合わせることに内省が役立つことはない。そんな状況で時間を割いて内省を行う意義を正当化するには無理がある。人によっては、自分の内側に注意を向けると落ち着かなくなったり、怖くなったりすることもあるだろう。
職場で省察を行ういちばんの障壁は、その使用を支持する職場の規範がないことだ。オフィスで沈思黙考して、内省している優れたリーダーにお目にかかることはまれだ。そのような人に出くわしたとしても、ナルシストだと片づけてしまうだろう。
教育は外からもたらされるもの、つまり新しい情報に触れることによって学習は実現するものだと、私たちは教えられてきた。だが、これは方程式の半分でしかない。
洞察やパターン、予測を求めて過去の出来事を振り返ることが、経験を知恵に変える手段となる。
振り返りを将来の目標達成に生かす方法
たとえば、省察的実践を試してみたいと思ったとする。
その場合、どこから始めるのがいちばんいいのだろうか?
1つの方法は日記だ。トーマス・エジソンなどの天才的発明家やフリーダ・カーロなどの優れた芸術家、セリーナ・ウィリアムズやマイケル・フェルプス、カルロス・デルガドをはじめとするトップアスリートに共通して見られるやり方である。
日記といえば、あまり好ましくないイメージがある。だが、日記を寂しいティーンエイジャーの自己陶酔的行為として片づける前に、まったく違う別の組織を参考にして日記というものを再定義してみよう。それは米海軍特殊部隊ネイビーシールズだ。
ネイビーシールズの兵士が真っ先に学ぶ教訓の1つに、戦場では高所に陣取ることが必要不可欠ということがある。戦争できわめて重要な視界が、高所で確保できるからだ。視界が確保できなければ、全体を見通すことができず、命にかかわる失敗を犯しやすい。
同じことが日常生活にも当てはまる。日常的に起こる非常事態や切れ目なく襲いかかる責任が、常により大きな戦略的な目標達成を脅かす。
立ち止まり、振り返って、戦略を立てる習慣を身につけると、それが積み重なっていつしか大きな利点になる。省察的実践により、すばやく学習ができ、より自信が持てて、深い知識が得られることは、すでに見てきたとおりだ。
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