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日本の富裕層が関心を寄せる「全寮制学校」の全貌 なぜ、世界は「教養・人格教育」を重視するのか

東洋経済オンライン / 2024年8月29日 14時0分

その論文を翌週までに提出して、その先生と議論を深める。そして、また次のリーディングリストを渡される。基本的にはこれを繰り返すことで「学び」を得ていきます。これは非常に密度の濃い勉強法でもありますし、自分の研究を追求している当事者意識が高く、また1週間でインプットからソリューションを出すところまでやりきるというところが個人的に大きな経験となりました。

ですから、オックスフォードの教育は、日本の大学のように、大学という大きな装置の中に部品のように自分がその一部として存在するというよりは、あくまで1対1の人間関係が積み重なっていく場所という印象があります。

堀内:ありがとうございます。次にアメリカの大学と日本の大学、そしてイギリスの大学の比較について、おうかがいしたいと思います。先日、東京大学の「カレッジ・オブ・デザイン」について東大総長である藤井輝夫氏にお話をうかがいました。

昨年、東北大学が「国際卓越研究大学」に認定されたのですが、東京大学はこの認定を受けることができませんでした。こうしたこともあって、今年の目玉として、すべての授業を英語で行う文理融合型の5年間一貫の「カレッジ・オブ・デザイン(仮称)」を2027年の秋から始めるということを打ち出しました。

また藤井総長自身が千葉の柏の葉にあるラグビースクールジャパンの視察に行かれて、やはりカレッジ、つまり学寮をつくるべきだという印象を強く持たれたようです。すべての授業を英語で行い、5年間で修士まで取れますといって海外から優秀な学生を集めようというのですから、本郷界隈のアパートを自分で見つけてくださいというわけにはいかないと思います。

また、学寮というのは単なる住まいではなく、大学の競争力にとってきわめて重要な意味を持っているので、欠かせないだろうと思います。

フェイフェイ:その通りだと思います。

堀内:東大をはじめとして、日本の大学が競争力というときに、その重心はどうしても学業のほうにあって、キャンパス運営などはあまり手が回らないのですね。つまり、学生の生活や学ぶ環境が重要であるという認識が希薄なのだと思います。

そうしたことも含めて、日本の大学とイギリスの大学の違い、それからもう一つはイギリスの大学とアメリカの大学の違いについて、フェイフェイが感じていることを聞かせていただきたいのですが。

伝統的なハウスシステム

フェイフェイ:大学の話の前に、伝統的なカレッジについてお話させてください。実はラグビー校とオックスフォードが共通しているのが寮の制度なんですね。これはハウスシステムと言われています。

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