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日本の富裕層が関心を寄せる「全寮制学校」の全貌 なぜ、世界は「教養・人格教育」を重視するのか

東洋経済オンライン / 2024年8月29日 14時0分

オリンピックはご存じのようにプロは参加できません。アマチュアの精神というのはまさに堀内さんが指摘されたところで、プロはどうしてもゲームの手段が目的になることがある。ですから、彼らはラグビーフットボールのプロ化には最後まで反対していました。

スポーツのためのスポーツとか、ゲームのためのゲーム、お金のためのお金というのは、基本的に紳士的な精神とは反すると考えられるのです。

堀内:そうした日本の教育、イギリスやアメリカにおける教育に対する問題意識を受けて、いま、フェイフェイが北海道のニセコで展開しようとしているインターナショナルスクールに関してお話をうかがいたいと思います。どういったコンセプトで新たな学校をつくろうとしているのでしょうか。

フェイフェイ:私が目指している教育は、国民国家や大企業等、決められた枠組みの中で活躍する人材ではなくて、一人の人間から世界が変わってしまうような存在を排出する教育です。それは必ずしも政治やビジネスのリーダーだけでなく、リーダーにならずとも哲学者、音楽家、小説家でも良いと思っています。もちろん今、世界は国際政治や資本主義の仕組みで運営されていますが、時々、歴史が変わるような人物が各界に登場します。そんなロマンチックな人間の力を信じています。

そういう意味で、インターナショナルスクールは、ひとつの言語と文化の縛りから子どもたちを解放し、彼ら彼女らがまさにワールドステージで活躍するひとつの鍵です。

ただ、それだけではまだ足りないないのです。気候変動やAI、エネルギー、文明の地球外展開など、人類的なテーマを考えるときには、理性だけでなく感性で、自然界のなかに身を置いて悠久の時の流れを感じて自然への敬愛とか畏怖を身をもって知ることが重要だということです。これはいつの時代もそうで、富や知の一極集中、中央化が進めば進むほど北海道のような自然、辺境=余白のなかでの情操教育が必ず必要になると思っています。

チャールズ国王から学んだ「自然と人間」の考え方

未知の課題と向き合える深い人間力を持った自由な発想ができる子どもや若者たちを生むためには、社会という既存の仕組みから離れ、北海道のような大自然のキャンパスで学ぶ必要があると思っています。そこには空間的、時間的な余白があるからです。

これは実はチャールズ国王から譲り受けた考え方です。私がお仕えしていたときにチャールズ皇太子が何度もおっしゃっていたことは、さまざまな社会問題の源泉は、人間が自然とのコンタクトを失ったところから始まっているということを言われておりました。外なる自然と内なる自然と向き合う場が北海道なのです。

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