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日本の富裕層が関心を寄せる「全寮制学校」の全貌 なぜ、世界は「教養・人格教育」を重視するのか

東洋経済オンライン / 2024年8月29日 14時0分

オックスフォードでは、30以上ものカレッジと呼ばれる寮があり、ラグビー校にもハウスという名称で15の寮があります。もともとナレッジ・トランスファー(知識の伝達)という意味では、ラグビー校はラテン語をはじめ基礎科目の知識を先生が生徒に授けるという、知識を学ぶための学校でした。

それが有名になって、ロンドンなど遠方からも多くの家族が子弟をラグビー校に送るようになったときに、その近隣に住んでいた地元の家庭に自分の子どもを預け始めたというのが、ハウスの起源です。当初は、学校は学校、寮は寮という別々の形をとっていました。

しかし、19世紀の初頭に、イギリスの教育界では伝説的な存在とも言えるトーマス・アーノルドという人物が校長としてラグビー校にやってきて、そもそも全人教育には知識だけではなく、紳士のふるまいと魂の救済が必要だと言い始めたんですね。

生活の場にも多くの学びがあります。寮は寮でバラバラに勝手に運営していてもダメだということを言いました。それで学校が主体となって、15の寮を合併し、そこに教員を住み込ませたのです。

ボーディングスクールの利点

千葉県の柏市にわれわれがつくったラグビースクールジャパンも、1つの寮に先生らが3組と生徒65名が生活を共にしています。そこには総責任者のハウスマスターとチューターがいます。チューターというのは家庭教師のような存在ですね。生徒たちにとっては普段勉強も教えてくれるし、1人ひとりの学習状況をクリアに把握しその子の学び方の特性も理解している若手の先生です。

それからメイトロンという身のまわりのことを世話をしてくれたり心配事の相談にのってくれたり、清掃や洗濯など寮の実務的な運営を受け持っているスタッフがいます。ワンストップでその子の全部が理解できて、漏れがありません。

日本の子どもたちの多くは、日中学校にいて、夕方は塾や習い事に行って家に帰る。つまり、子どもたちは1日のなかで家庭や学校、塾など、複数の場所に身を置くことになります。しかし学校の先生は塾で何が起きているかわからないし、塾の先生は家庭で何が起きているかわかりません。そうすると、子どもが隙間に落ちてしまうケースが出てきてしまいます。

それがボーディングスクールであれば、何か問題があったときでもその子に関してわからない部分は少ないですし、同じ場所で生活を共にしているので話し合う時間も持てます。そういった全方位的なサポートが得られるというのがボーディングスクールのよさだと思っています。

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