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なぜ若者はキャリアに不安を持っているのか 「成果主義」ではなく「貢献主義」で捉え直す社会

東洋経済オンライン / 2024年8月29日 9時0分

そう思うと、貢献という言葉には、そもそも全体性とか、統合性というものを前提としていますよね。

舟津:そうですね。研究コミュニティとか、会社とかがやっぱり想定されているんですよね。そういう意味では、貢献はすごく組織的な概念です。

勅使川原:成果主義ではなく、貢献主義だ。

舟津:本当にそうだと思います。もちろん、ギブにただ乗りされたり、搾取されていることに気づかないってのは当然ある。でもそれは、ある意味でマイナーな問題だと思うんです。ギブするということがすべてのエンジンであり、そこは譲ってはいけないところ。

勅使川原:ギブは自分の問題で、それをどう受け取るかは相手の問題になってくるんですね。

かつての日本企業は「貢献主義」だった

舟津:「貢献主義」という表現はあまり見受けないですね。ただうまくいっていた日本企業は、そういうふうに考えていた気もするんですね。

勅使川原:それ、私も企業を見てきて、ちょっと思います。

舟津:組織の中で「なぜあの人が評価されているのか」って疑問に思うとき、その理由の1つは貢献度かもしれません。よくしてくれたから、みたいなことが案外評価の大部分を占めていたのではないか。それって能力でもないし、成果でもないし、気に入った人をひいきしているわけでもない。組織への貢献があったんだと。

勅使川原:うわー、本当にそうかも。それこそ、「営業の人が金持ってくるから偉い」みたいなことが大企業の中でよく言われたりするんですけど、でもコールセンターで誰かが客の苦情を1時間延々と聞いてくれないと成り立たなかったりもするわけで。そういう貢献を利益をもたらす人=成果主義で評価すると、見過ごされてしまいますよね。

舟津:かつ、結局は主観に頼ることになるんですが、貢献度ってわかる人にはわかるものだと思うんですよ。それこそ組織の中にいる人、特に上司やマネジャーにはいかなる貢献があったかはある程度わかるもの。それに、貢献って基本的には中長期に見るもので、短期で測ることはナンセンスです。

勅使川原:能力の判断は難しくても、いてくれてよかったっていうのは思いますもんね。エンゲージメントサーベイならぬコントリビューションサーベイ。

舟津:こういうのって、仕事をやっていたらめっちゃわかることじゃないですか。たとえば、誰かが「じゃあ、やります」と手を挙げなければ、たたき台を出してくれなければ、すべてが止まってしまうことがある。そういう状況で積極的に動けること、それこそが貢献であり、ときに能力や成果以上に大切なものなんですよ。

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