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なぜ若者はキャリアに不安を持っているのか 「成果主義」ではなく「貢献主義」で捉え直す社会

東洋経済オンライン / 2024年8月29日 9時0分

勅使川原:アカデミアでいうと、ピアレビューでの質問がそうですね。質問ないことが一番の不義理というか、愛のなさというか。企業でも、質問をしたり、意見を出したりするだけでも貢献なのに、スムーズに進行することばかりが評価されがちですよね。

舟津:「成果主義」や「能力主義」はとても妥当な制度にみえて、意外と作用しづらいし、何より根付かない。むしろ貢献主義という考え方のほうが現実に即しているし、多くの人がピンと来るのではないでしょうか。

貢献主義は会社のために理にかなっているし、社員にとっても見返りがある限り、よくできたシステムです。フリーライドを防げるし、ほどよく全体主義をとれる。

教育や学校運営も「貢献主義」で捉え直す

勅使川原:本当にそうですね。教育や学校運営でも同じように説明できるかもしれません。手を挙げて発表してくれたとしたら、たとえ間違ったとしても、それは貢献にほかならない。

舟津:たとえば、「この90分の授業の目的はみんなが楽しく学べること。そのときに、それぞれができる貢献って何だと思う?」と聞いてみる。こういうのって、すごく集団性が育ちやすい気がしますね。

勅使川原:それ、すごくいいですね。成果主義の世界だとリーダー役の人ばかりが評価されてしまうけど、貢献主義であれば、おとなしいけどきちんと話を聞いてくれる人も大切な存在になってくる。

舟津:全員がリーダーだったら回るわけがないんで。

勅使川原:ほんとに。1つの車にハンドルが3つも4つもあったら困ります。だけど、就活ではみんなリーダーですもんね。

舟津:たしかに。やっぱり、「特別に利益をもたらす人間」を演じないといけない、という怖さを感じているからだと思います。リーダーとか、自立性とか。それはいまの就活システムの問題だとして、貢献主義という視点から捉え直せば、必ずしもリーダーというわかりやすい立場だけが価値のあるものではない、と理解できるとは思いますし、個々の努力を引き出しやすい気はします。

勅使川原 真衣:組織開発コンサルタント

舟津 昌平:経営学者、東京大学大学院経済学研究科講師

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