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スペインで人気ラーメン屋経営する日本人の素顔 「金もコネもない」30代男性なぜ成功できた?

東洋経済オンライン / 2024年8月29日 10時30分

「ラーメン・シモジ」がオープンして4カ月後の、2022年8月。経営が軌道に乗ると、「できるだけ働きたくない」下地さんは従業員を雇うことにした。

「もともと多店舗展開していく予定だったので、早く人を雇ったほうがいいなとは思っていたんです」

ラーメンを食べにくる日本人に片っ端から「働きませんか?」と声をかけていった。初期メンバーとして4人が加わり、そこから徐々に従業員の数も増えていった。

営業態勢は、1店舗につき2、3人で行っている。厨房担当ひとりと、ホールひとり。

シモジグループで働く従業員のほとんどは日本人だ。下地さんは、「できるだけ日本人を雇うようにしている」という。

「同じ給料を払うなら日本人のほうがちゃんと働いてくれますし、言語の面でも楽です。それに、日本人に会えることを求めているお客さんも多いので」

シモジグループの従業員でスペイン人と結婚し、ビルバオに住んで1年目のレイコさん(39歳)は、「融通がききやすく働きやすい、いい職場です」と語る。

従業員の時給も2ケタ以上で設定しており、スペインの最低賃金額である時給8.87ユーロ(約1420円)と比べても高い。加えて、スペイン語のレベルは問わないため、シモジグループの離職率が低いのも納得できる。

働く日本人スタッフの「本音」

「働きたくない」と公言するオーナーにスタッフから不満は出ないのだろうか。

初期メンバーでもあり、現在2店舗目の「ラーメン・ケイトク」を任されているスタッフの飯田竜次さん(36歳)に話を聞いた。

「オーナーが自由な人なので、働きやすいのはありますね」

元々家具店の営業をしていたという竜次さんは、スペイン在住歴6年目で、スペイン人パートナーを持ち結婚ビザで働いている。ビルバオに住む竜次さんは客として「ラーメン・シモジ」へ行った際、「うちで働かない?」と誘われたひとりだ。人と話をするのが得意ではなかったため、当初、接客をせずほかの従業員と会わないなら、と条件を提示すると「それでいいよ」と下地さんは、快く引き受けてくれたという。ところが現実はそう甘くなかった。

「ふたを開けてみたら、いきなりお客さんのところに出されるわ、ほかの従業員さんと2人っきりで働かされるわ、ユイキさん(下地さん)は途中で日本帰っちゃってお店任されるわ。で、そういうことをやっているうちに、意外と自分もできるんじゃないかと思えてきたんです」

下地さんはあまり店には来ない。竜次さんも月に1度会うくらいだという。

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