1日10万個製造「京都おたべ工場」内部の凄い光景 意外と知らない八ツ橋の歴史と工場見学の内容
東洋経済オンライン / 2024年8月30日 10時0分
美十は今では幅広い事業を展開している。生八つ橋の「おたべ」やバームクーヘンの「京ばあむ」といった主力商品のほか、いなり寿司専門店「釣狐」や、東京駅限定でクッキーやラングドシャを販売する「MIYUKA」、国産小麦にこだわった高級食パン「別格」などの製造・販売、カフェの運営なども行う。
テーマパーク向けなど他社ブランドとして販売するOEM商品の製造にも力を入れているため、案外気づいていないところでも美十の商品に触れているかもしれない。
無料で楽しめる工場見学
近鉄京都線の十条駅から徒歩10分の場所にある「おたべ本館」では、実際に美十の主力商品である、おたべの製造過程を見ることができる。
2005年の本社工場建て替えと同時に、「実際に製造工程を見てもらい、親しみを感じてもらいたい」「地元の人にも来てもらいたい」という想いで美十の工場見学は始まった。
工場見学は、無料で予約不要。館内のスタッフに声をかけると、見学の案内をしてくれる。早速工場の中に入ると、わくわくする光景が広がっていた。
中に入ると、ガラス越しに、おたべの生地の成型から箱詰めまでの製造工程を眺めることができる。原料や生地の投入、目視検品は人の手によるものだが、成型、包装、箱詰め、印字はすべて機械化。工場では多い時で1日10万個のおたべが製造される。
製造工程を見てみよう
機械が生地の端を器用につまんで、綺麗に三角形に折りたたんでいく様子は、思わず見とれてしまいそうになる。
筆者は何度かここを訪れており、工場の変化も感じている。その1つが、包装作業の工程の変化だ。おたべは2020年にトレー包装から、個包装へと変わった。最初に訪れた際には手作業でトレー包装が行われていたものの、個包装化されたタイミングで、この工程も機械化されるようになった。
美十が個包装を始めた時期は、偶然にも、新型コロナが流行しはじめたタイミングと重なった。個包装というスタイルは、感染を避けたい消費者の需要ともマッチしたようだ。
コロナ禍の観光客減少や外出控えで、美十のお土産やテーマパーク向け商品の売り上げは激減。一方、スーパーなどの地方銘菓特集や通販で購入が広がり、「自宅でもおたべを通して旅行気分を味わってもらえたのではないかと感じています」(広報担当松本典子さん)。観光客が戻ってから、美十はコロナ以前を超える売り上げを維持している。
出来立てほやほやのおたべを試食
「おたべ本館」工場見学のいちばんの魅力と言っても過言ではないのが、できたてホヤホヤの「おたべ」の試食体験だ。
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