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年金の「繰上げと繰下げ」損得を分ける唯一の要素 受給開始の時期は「健康寿命」も考慮して決める

東洋経済オンライン / 2024年9月1日 14時0分

例えば、65歳で年間150万円の年金を受け取る予定だった人が、70歳まで繰下げると213万円、75歳まで繰下げると276万円に増額されるということです。そして、その年金額を死ぬまでもらい続けられます。

もちろん、75歳まで繰下げて年金額が増えたとしても、人生が80年で終わるとちょっと残念です。それに、繰下げのメリットを最大限享受するならば、75歳まで年金なしで暮らせることが前提になります。

「さすがに、それはきつい」という方もいるでしょう。しかし、1年繰下げればその後の年金収入が65歳時点より8.4%も増やせるわけですから、できる範囲で1年でも2年でも繰下げれば、その後の暮らしがかなり楽になります。

65歳を過ぎても年金以外の収入がある人や、当面は蓄えで生活できる人、大きな病気をしていない人などは繰下げ受給を検討してみてはいかがでしょうか。特に、将来受け取る年金額が少なく、老後のお金に不安を感じている人や、平均寿命が長い女性は繰下げ受給がお勧めです。1カ月でも、2カ月でも遅らせると、それだけ増えるのですから、もらい始めるぎりぎりまで考えていいと思います。

「繰下げ」すると損する、という話は本当か?

繰下げ受給の話をすると、「長生きしなければ、結局は損することになりませんか」と、よく聞かれます。たしかに、年金が増えても、思っていたより長生きできなければ損になります。

それでは、どれくらい長生きすると、「繰下げ受給してよかった」となるかというと、分岐点となるのは、もらい始める年齢プラス11歳です。66歳なら77歳以上、70歳なら81歳以上、75歳なら86歳以上長生きできると、得することになります。

人の寿命は誰にもわかりません。年金が増えるのを楽しみに待っている間に寿命が尽きることもあります。そういう場合、繰下げした年金はどうなるのでしょうか?

もし、もらい始める前に亡くなったときは、遺族が未支給年金(もらうはずだった年金)の請求をすると、65歳時点の年金額で算出された年金額が一括で支払われます。ただし、請求した時点から5年以上前の年金は受け取れません。

例えば、繰下げ受給を予定していた人が73歳で亡くなったとしたら、遺族が請求すると、68~73歳までの5年分の年金をもらえます。その際の金額は、68歳まで繰下げた額ではなく、65歳時点のものです。残念ながら、65~67歳までの年金は消滅です。

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