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年金の「繰上げと繰下げ」損得を分ける唯一の要素 受給開始の時期は「健康寿命」も考慮して決める

東洋経済オンライン / 2024年9月1日 14時0分

もう少し細かく分析して、年金から税金や社会保険料を差し引いた手取りベースで見ると、もう少し後ろに下がって82歳あたりになります。

日本人の平均寿命は、男性は約81.41歳、女性は約87.45歳。要するに男性の平均寿命あたりが、損するか、得するかの分岐点ということです。

男性なら、平均寿命まで生きられたら繰上げの選択はうまくいったことになります。一方、女性はもう少し長生きするので、繰上げ受給をすると損をする人が多いといえます。もちろん、結果として、得するのか、損するのかは誰にもわかりませんが。

人生を満喫するためには「健康寿命」を考慮する

年金を早くもらっている人のなかには、「元気なうちに楽しみたいから」という理由を挙げる人もいます。

そういう人たちが意識しているのが、健康寿命です。健康寿命とは、誰かのお世話になることなく自力で日常生活を送れる期間のことで、平均寿命と比べるとぐっと短くなります。男性は72.68歳、女性は75.38歳といわれています。「体が元気なうちに趣味や旅行などを楽しみたいから、年金は早めにもらう」。それも、ひとつの選択肢なのかもしれません。

確実に年金を受け取ることを重視するのか、長生きリスクを重視するのか。自分自身のライフプランと合わせて総合的に判断・選択する必要がありますが、私は自分が決めた受給年齢が正解だと思っています。

繰上げ受給について注意しておきたいことが2点あります。1つは、繰下げ受給と違って、国民年金と厚生年金のどちらかだけを「繰上げ」ることはできないことです。繰上げるときは同時になります。

もう1つは、1度「繰上げ」ると取り消せないことです。「やっぱり65歳から」とか、「やっぱり繰下げに」というわけにはいきません。どうしようか迷っている間は、繰上げ受給をしないほうがいいでしょう。年金の制度は複雑なので、繰上げ受給を検討されている方は、年金事務所で事前に相談することをお勧めします。

繰上げ受給は、年金が少なくなるとはいえ、60~65歳の5年間で働かなくても入ってくるお金が増えるのは事実です。そこをどう考えるかだと思います。

ここまでお話してきた内容でお分かりのように、年金を最大化できる年齢は人によって異なります。どんな老後を送りたいのか、自身の人生プランや健康状態と照らし合わせて、後悔のない方法を選んでください。

社労士みなみ:社会保険労務士、YouTuber

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