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年金の「繰上げと繰下げ」損得を分ける唯一の要素 受給開始の時期は「健康寿命」も考慮して決める

東洋経済オンライン / 2024年9月1日 14時0分

「年金がなくなるなんてあり得ない!」と感じる方は、繰下げ受給開始年齢を70歳以内に設定することをお勧めします。

「繰上げ」たほうが得になるケースもある

年金は、もらい始める時期を遅らせることもできますが、逆に、65歳より早めることもできます。具体的には、60歳からもらうことができます。これが、「繰上げ受給」です。

年金をうまく使うためには、覚えておいて損はありません。もちろん、早くからもらえるという大きなメリットがある反面、もらえる年金が少なくなるというデメリットがあります。

「繰上げ」たときの減額率は、1カ月で0.4%。1年早めると、0.4×12カ月で、4.8%の減額です。60歳からもらい始めると、なんと24%の減額になります。しかも、その年金額が一生続きます。

例えば、年額150万円の年金をもらえる予定だった人が60歳からもらうようにすると、年額114万円になってしまうということです。

0.4%という減額率は、2015年度簡易生命表による平均余命をもとに算出されたものです。

平均余命とは、各年齢に達した人たちがその後平均して何年生きられるかを示したもので、65歳時点の平均余命は男性19.44歳、女性は24.3歳です。

この数字をどう受け取るかは人それぞれですが、減額率の設定は、いつから受給しても87歳まで生きると同じくらいの年金総額になるように設定されているといわれています。

82歳まで生きると「繰上げ」は損になる

それでは、どのくらいまで長生きすると、「繰上げは損だった」ということになるのでしょうか。

長生きして損というのも変ですが、繰下げ受給とは逆の見方ですね。

そもそも、年金は高齢で働けなくなったときのための所得保障であり、損得で考えるべきではないのですが、この点に関心を持たれている方がすごく多いので説明します。

年額200万円の年金をもらうはずだった人の例で考えてみましょう。

60歳から年金をもらい始めると、80歳時点でトータル3040万円(年額152万円)もらうことになります。65歳からもらい始めていたとしたら、80歳でトータル3000万円です。この時点では、まだ得です。

繰上げしなかった場合のトータル金額が上回るのは、80歳10カ月。つまり、そこまで長生きすると、ようやく「繰上げは損だった」ということになります。

これは、年金額が100万円でも、300万円でもほとんど同じです。つまり、年金額にかかわらず、損益分岐点は決まっています。

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